◆ドル円は、米中通商協議への期待や日米通商協議への警戒で動きづらいか
◆日銀金融政策決定会合、新興国通貨危機にも注目
◆ユーロドルは、欧米自動車関税問題、イタリア予算案で伸び悩むか

9月17日週の展望
 ドル円は動きづらい展開を予想する。米中通商協議が開催される可能性が高まっている。
新興国通貨危機への警戒感は払しょくされておらず、21日に予定されている第2回日米通商協議(FFR)で日米貿易不均衡を是正するよう米国側から圧力がかかることへの警戒感も出ており、動きづらい展開が予想される。
来週から9月下旬にかけての日米の重要イベントの日程は以下の通りとなる。
・18-19日:日銀金融政策決定会合
・20日:自民党総裁選挙投開票
・21日:第2回日米通商協議(ライトハイザー米通商代表部代表・茂木経済財政相)
・22-24日頃:第3回日米経済対話(ペンス米副大統領・麻生副総理兼財務相)
・25日頃:日米首脳会談(トランプ米大統領・安倍首相)
・25-26日:米連邦公開市場委員会(FOMC)
 日銀は前回の金融政策決定会合で若干の修正を行ったが、これはステルス・テーパリング(隠れた緩和の縮小)ではないかとの見方が出ている。日銀からの回答が注目される。
 米中貿易戦争は、トランプ政権による7月の対中制裁関税第1弾(340億ドル)、
8月の第2弾(160億ドル)に続き、今月は第3弾(2000億ドル)、第4弾(2670億ドル)の発動が示唆されている。しかし、トランプ政権が米中通商協議を再開すると報道されており、警戒感がやや後退している。
 日米の貿易不均衡是正に関しては、21日の第2回FFRから協議が再開される見通しで、
11月の米議会中間選挙に向けて、農産物輸出や自動車関税、さらにドル安・円高圧力が強まる可能性が警戒されている。
 ユーロは伸び悩む展開か。イタリアの2019年度予算案が財政拡大路線となり、欧州連合(EU)の財政均衡化目標に抵触する可能性が高まっている。
トリア伊財務相の辞任も取り沙汰されている。トランプ大統領がEUによる自動車関税撤廃の要請を拒絶したことなどで、ユーロは伸び悩む展開を予想する。
 ユーロ円は、米国を軸にした中国、欧州、日本との貿易摩擦への警戒感、
トルコやアルゼンチンなど新興国の通貨危機への警戒感が払しょくされていないことから伸び悩む展開を予想する。

9月10日週の回顧
 ドル円は、本邦企業による米国企業買収案件が持ち込まれたこと、
トルコ中央銀行が政策金利を17.75%から24.00%へ大幅に引き上げたこと、米中通商協議の開催が模索されていることなどで、
110.85円から112.08円まで上昇した。しかし、安倍首相が異次元緩和の出口に言及したことで伸び悩む展開となった。
ユーロドルは、トルコ中央銀行の大幅利上げやドラギ欧州中央銀行(ECB)総裁が
ユーロ圏の景気見通しやインフレ見通しに強気な見方を示したことで、1.1530ドルから1.1701ドルまで上昇した。ユーロ円は、トルコ通貨危機への警戒感が後退したことで、127.87円から131.04円まで上昇した。