>>12
階段を降りるとき、ちらっと奥の通路を覗き込むと、確かにいる!
アパートに来たときと寸分違わぬ姿で、女がぼーっと遠くを見ながら立っている。
私たちがこのアパートに来てから、何時間が経っただろうか。その間、ずーっと同じ体勢で同じ場所にいたのだろうか。生身の人間だとしても普通じゃない。

あの女は何者だ、とコンビニに向かう道すがら話し合った。そこで、帰りに挨拶をしてみようと私が申し出た。酒のせいで気が大きくなっていたのだ。