稼働が1年超遅れたグリコの基幹システム刷新、投資額は当初比1.6倍の342億円に

江崎グリコの基幹システムで障害が続いている。物流センターでの出荷業務が一部停止し、看板商品である「カフェオーレ」や「プッチンプリン」など冷蔵商品が出荷できない状態に陥っている。原因は旧基幹システムから独SAPの「SAP S/4HANA」への切り替えに伴うトラブルだ。

江崎グリコの開示資料からは、この基幹システム刷新プロジェクトが稼働前から「難産」だったことがうかがい知れる。

・費用が215億円から342億円に膨張

 江崎グリコの有価証券報告書によると、同社が基幹システムの刷新に着手したのは2019年12月だ。2021年12月期の時点で、完了予定時期を3年後の2022年12月としていた。投資予定額は215億円と、2021年12月期の営業利益193億円を上回る一大プロジェクトだった。このうち、同期末までに118億円を既に支払っていた。

 ただプロジェクトはもくろみ通りにはいかず、費用の膨張と延期に見舞われる。翌2022年12月期の有報では、既払い額が193億円に増えている一方、完了時期は「未定」に変わっていた。同期中もプロジェクトを推進したものの、予定通りの時期に刷新を完了できない何らかの問題が発生したことがうかがえる。

 生みの苦しみの大きさは、翌2023年12月期の有報でさらに鮮明になる。投資予定額は342億円と約130億円も増加し、既払い額も271億8000万円と当初の予定額を超えた。完了予定時期も当初の記載から1年超遅れた2024年3月とした。そして今回、2024年4月3日に旧システムから新システムへ切り替えたが、システム障害が発生した。

 江崎グリコ広報は「(基幹システムの導入を)延期していることは事実だ」とする一方、「詳細については回答を差し控える」とした。
https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/00001/09206/

江崎グリコ 基幹システム障害で全冷蔵商品が出荷できず

「江崎グリコ」は、基幹システムの障害で「プッチンプリン」などのすべての冷蔵商品が全国で出荷できない状態になっていることを明らかにしました。会社は、5月中旬の出荷再開を目指しているということです。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240419/k10014427821000.html

グリコ基幹系トラブルがキリンビバレッジにも波及、「トロピカーナ」など出荷停止
https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/news/24/00622/