谷垣禎一元法務大臣

新内閣発足直前、誰かの政治資金パーティーの控室であべさんと居合わせ、「何かやってくださいよ」と防衛相などいくつかの閣僚ポストを提示されました。いずれも断ると「何だったら引き受けてくれるんですか」と食い下がられ、「そこまでおっしゃるなら」と法相を挙げました。政界に入る前は弁護士でしたからね。あべさんは「じゃあ、それでお願いします」。組閣の日、首相官邸で告げられたポストは案の定、法相でした。

《在任中は11人の死刑囚への死刑執行を命じた。法務省が執行の事実と人数を公表するようになった10年11月以降では、上川陽子前法相の16人、鳩山邦夫元法相の13人に次いで多い》

過去に執行命令書への署名を拒んだ法相が何人かいましたが、法相を引き受けておいて死刑を執行しないなんておかしい。法律で死刑という制度が定められていて、その執行は「法務大臣の命令による」と書いてあるのですから、個人の信念や宗教上の理由で執行しないのは間違っています。できないのなら、法相としてただちに法改正の作業に着手すべきです。

死刑判決の資料はできるだけていねいに読むようにしていました。人の命を奪えと命令する以上は、そのために部下がそろえてきた資料をよく読み、「よし、これはやるべし」というふうにしないといけないと考えていたのです。

他の法相経験者はどうか知りませんが、私は大臣室の引き出しに仏像と数珠を入れておき、署名時に手を合わせていました。やっぱり、なかなか荷の重い仕事ですから。

私が執行を命じた死刑囚はほとんどが虐待を受けており、「こんな育て方をされちゃかわいそうだな」と思うような子供時代を送っていました。いろいろ事情はあると思いますが、子供は誕生を祝福され、「生まれてきてよかった」と思える環境で育つことが大事だと、つくづく思います。
https://imgur.com/1jx1HvL.jpg
https://imgur.com/MhVjB84.jpg
https://www.sankei.com/article/20220423-A6URPBUG6JPSZAFROEXUDSPA24/