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旅館業法は、ホテル側から求められた場合に、宿泊者は自らの氏名などを明らかにすることを義務づけている。旅館業法6条1項は「営業者は、宿泊者名簿を備え、これに宿泊者の氏名、住所、職業その他の事項を記載」するよう定めており、同じく2項には「宿泊者は、営業者から請求があったときは、前項に規定する事項を告げなければならない」とある。

違反者に対する罰則もある。ホテルに氏名や住所を偽って告げた者は「拘留又は科料に処する」として、立ち小便などの軽犯罪と同等の処罰をほのめかしている。拘留とは、短期間(1日以上30日未満)の身柄拘束をする刑罰で、科料とは、罰金よりも少額の金銭(千円以上1万円未満)を強制徴収する刑罰だ。重い罰ではないが、仮にこれらの刑で処罰された場合、市町村の犯罪人名簿には掲載されないものの、検察庁の犯歴記録には「前科」として一生残る。

だが、久保内統弁護士は「知る限り、この罰則が使われたのは聞いたことがない」という