なぜ、関東の立ち食いそば屋では春菊天が人気なのだろうか。関西と関東の春菊は種類が異なっている。関西の春菊は菊菜という。菊菜は株ごと抜いて収穫する。葉は大きく香りは控えめで、サラダなど生で食べるのに向いているという。関東の春菊は葉が小さめで香りが菊菜より強い。茎が何本かに分かれるので、茎を摘み取りながら長期間収穫できる。

 つまり、天ぷらにしたとき、香りがよく立つのは関東の春菊ということになる。天ぷらにすると苦みが抜け、さわやかな香りを放つのが特徴で、醤油の濃い目のつゆにもよく合っている。このあたりが関東での人気の理由だと考えている。