14日に津地裁で初公判が開かれる強盗致傷事件の裁判員裁判(柴田誠裁判長)で、津地検が証拠資料として津地裁に提出していた被害者の負傷写真について、地裁が証拠採用を認めなかったことが関係者への取材で分かった。裁判員裁判の証拠として「内容が刺激的」と判断されたという。地検は代替案として、イラスト加工した白黒写真を提出したが、地裁は「グロテスク」として認めなかった。

 強盗致傷の罪に問われているのは住所不定、無職柴田純一被告(25)。起訴状などによると、柴田被告は2月15日、津市内のコンビニで、40代の女性アルバイト店員にカッターナイフを突き付けてもみ合いになり、左腕を切りつけて全治約6カ月の重傷を負わせたとされる。女性は左腕の神経などを切られ、握力が低下するなど後遺症が残っているという。

 関係者によると、地検は被害を立証する上で写真が一番の証拠になると判断し、女性の傷のカラー写真3枚を証拠として提出。地裁はこの写真に難色を示し、7月1日付で証拠採用を却下した。「刺激的」を理由に証拠採用を却下する法的根拠はなく、過去の裁判員裁判で負傷写真が証拠として採用された例は珍しくないという。

 地検の吉野太人次席検事は取材に「被害者の尊厳を踏みにじる発言は極めて遺憾。重大な負傷内容や心の苦しみについて、裁判員に理解してもらえるよう立証していきたい」とコメントした。一方、柴田裁判長は「裁判が始まっていないので何も答えられない」と話している。