コロナショックで「就職氷河期」再び? 内定取り消し、来春採用減の通告続々
[ 2020年3月14日 05:30 ]



新型コロナウイルスの電子顕微鏡写真(米国立アレルギー感染症研究所提供)
Photo By 共同
 “コロナショック”で経済界が打撃を受ける中、今春卒業予定の学生らの就職に影響が出始めた。学校には内定取り消しの相談が複数寄せられ、政府は学生らの保護を呼び掛けたが実効性は不透明。
「就職難を招いた2008年の金融危機(リーマン・ショック)と同様の事態になるのでは」と心配する声が上がっている。
 東京都内の定時制高校4年の男子生徒(18)は「感染拡大で取引先が経営不振に陥り、中国からの部品納入が止まった」として、町工場から内定が取り消された。
学校の協力も得て片っ端から会社に電話。何とか営業職の仕事を見つけたという。「勤務条件は落ちるが、ウイルスのせいなので仕方がない」と語った。
就職支援を手掛ける「ジンジブ」(東京)には、高校生から「企業が選考を取りやめてしまった」との連絡が入っている。

 売り手市場だった大学生も、内定取り消しに直面している。専大では卒業直前の4年生が就活を再開せざるを得ない状況に追い込まれたという。

 経済の停滞で、採用する企業側にも厳しい事情がある。東京都内の弁護士の元に観光関連の事業者から「内定を取り消したい」と相談があった。
外国からのツアーが6〜7割減に。弁護士によると「五輪のため採用数を倍増していたが、社員の雇用維持も難しく、とても抱え切れないと訴えていた」という。

 政府は13日、主要経済団体に対し、内定取り消しは最大限の経営努力で回避するよう要請。ただ“コロナショック”の影響は収まりそうもない。
中大キャリアセンターの担当者は今月上旬、ある企業役員から「来春の採用は控える」と伝えられたという。専大就職課の担当者も「リーマン・ショックの時は、その年以降の採用が大幅に縮小された」と懸念を示した。