https://www.bbc.com/japanese/46053840

下半身まひの3人、再び歩けるように 脊髄に機器埋め込みで
3時間前

パラブ・ゴーシュ BBCニュース科学担当編集委員

車椅子生活が一生続くと告げられていた下半身まひの男性3人が、スイスの医師たちのおかげで再び歩けるようになった。
学術誌「ネイチャー」で発表されたこの研究は、脊椎の周りに埋め込まれた電子機器が、脳から脚への信号を増幅するというもの。機器はさらに、損傷を受けた脊髄内の神経の修復を助けるという。

神経の回復は研究チームにとっても予想外だった。この副産物によって、究極的には一部のまひ患者が自分の力で患部を動かせるようになるのではと期待されている。
BBCニュースは、臨床試験に参加した患者3人を独占取材した。
最初に治療を受けたのは、スイス出身のデイビッド・ムジーさん(30)。7年前のスポーツ中の事故で、深刻な脊髄損傷を負った。

「不可能への挑戦」

ムジーさんは医師に、一生歩けないだろうと言われていた。
しかし、スイス連邦工科大学ローザンヌ校(EPFL)の研究チームが開発した埋め込み式の電子機器のおかげで、ムジーさんは機器の電源をオンにしていれば1キロ先まで歩けるようになった。
(リンク先に続きあり)

トブラーさん(左)、オスカンさん(中央左)、ムジーさん(右)の3人は全員、クルティン博士(中央右)による研究の恩恵を受けている
https://ichef.bbci.co.uk/news/410/cpsprodpb/6A4C/production/_104121272_courtinewithpatients.jpg
ムジーさんはクルティン博士の娘に、目の前で歩いてみせると宣言した。そして約束を守った
https://ichef.bbci.co.uk/news/410/cpsprodpb/51A6/production/_104120902_davidwithcharlotte.jpg
脊髄に機器を埋め込む手術の概要。(1) 脊髄内の神経は脳から脚に信号を送る、(2) 脊椎が損傷すると、脊髄内の神経が送る信号が脚に伝わらなくなるが、(3) 機器が信号を増幅することで脚が動くようになる。また、損傷した神経の回復効果もあるとみられる
https://ichef.bbci.co.uk/news/410/cpsprodpb/4D00/production/_104121791_spinal_implant_640-nc.png