米中貿易戦争後に訪れる「新世界経済秩序」が少しだけ見えてきた
トランプはこんな世界を描いているのか
安達 誠司
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/57506
「パフォーマンス」ではなさそうだ
現在、与党の共和党だけではなく、野党の民主党においても、「中国封じ込め政策」は同意を
得ているとの指摘もあり、もし、その指摘が正しければ、中間選挙の結果にかかわらず、米国の
中国に対する強硬姿勢は変らないどころか、中国が妥協(資本や市場を開放するとともに、
パテント料などもきちんと支払う)しない限り、ますます強まるのではないかと考える。

ところで、今回の「米中貿易戦争」だが、その趨勢を考える際に、リベラル偏重の傾向が強いメデ
ィアからの情報だけに頼ると判断を誤るリスクが高いのではないか。リベラル層は、トランプ大統領
の存在を否定するところから議論を始めるので、「米中貿易戦争」についての議論も自然とトラン
プ大統領が主導する「悪政」のような内容になってしまう。

例えば、ノーベル経済学賞を受賞したこともある米国を代表する経済学者のポール・クルーグマン
氏は、リベラル紙のコラムで「トランプ大統領の政策で米国経済はとんでもない事態に陥る」と毎回
のように訴えているが、現実の米国経済は回復基調を強めている。色々な予言を的中させてきた
クルーグマン氏だが、トランプ政権下の米国経済に関する氏の意見を鵜呑みにしていたら、米国
経済の回復についていけなかっただろう。

とはいえ、トランプ大統領を支持する層もあまりに無条件にトランプ大統領を礼賛する傾向が強
いことから、トランプ支持の保守の論客の話は信用するにはあまりに「胡散臭い」と思われる読者
の方も多いだろう(この辺は不思議と日本における安倍首相の政策姿勢に関する議論に似ている)。

そこで、注目する価値のあるのが株価動向である。株式投資は、その損得(投資パフォーマンス)
で勝敗がはっきりする。唱えるお題目がどんなに立派でも損すれば「負け」である。さらにいえば、
特定のイデオロギーに拘泥すると「大ヤラレ」する。