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https://gendai.ismedia.jp/articles/-/57020?page=2
ネット掲示板からSNS、新聞・テレビへと伝搬
QAnonの起源は、2017年10月に米国のインターネット掲示板「4chan」で見つかった書き
込みとされる。これ以降、「8chan」と呼ばれる別のネット掲示板、さらにはツイッターやフェ
イスブック、(グーグル傘下の)ユーチューブなどへとQAnonは瞬く間に拡散していった。
しかし、これがテレビや主要紙など大手メディアで取り上げられ、米国社会でメジャーな関
心事となったのは、つい最近のことだ。その発端は今年7月31日、トランプ大統領がフロリダ
州タンパで催した政治集会(演説)とされる。

この会場に詰めかけた多数のトランプ支持者が、「QAnon」の文字入りTシャツを着ていたり、同じく
「QAnon」と書かれたプラカードを掲げて気勢を上げていた。そして、この様子が米国でかなり影響力
のある報道テレビ番組、あるいはニューヨーク・タイムズやワシントン・ポストなど主要紙で報じられた。

また、この政治集会から間もなくホワイトハウスで開かれた定例ブリーフィングで、記者の間か
らサンダース報道官に「あの集会で見られたQAnonと呼ばれる傍流集団(fringe group)の
支持を大統領は求めているのですか?」という質問が投げかけられた。

これに対し報道官は「大統領は政権発足以来、(QAnonのような)潜在的な過激派集団を一貫して
非難してきました。我々(トランプ政権)が彼らの支持を求めるようなことは決してありません」と返答した。

大統領までもが陰謀論を煽る事態に
ところが実際はその正反対で、トランプ大統領はQAnonの支持を求めており、それを仄めかす発言をしていた。

その鍵となるのが「17」という数字である。QAnonは普段からこの数字を、自分たちの間だけで通じる
一種の暗号として使ってきた。17はアルファベットで17番目の文字、つまりQを指しているからだ。

先日、タンパで開催された集会でも、トランプ大統領は「私は生涯でワシントンを17回訪れたことがあり
ます。17回ですよ、17回」など、17という数字を不自然なまでに連呼した後、会場の群衆に向かって
「皆さんは私が何を言いたいか分かりますよね」と意味深に語りかけた。

要するに最初はネット掲示板のようなアングラ・メディアで秘かに始まったQAnonという陰謀論が、やが
てソーシャル・メディアを通じて一挙に拡大し、ふと気が付いたときには主要テレビ局や新聞社が大きく
報じるほどメジャーなニュースになってしまった。

しかも本来、表社会の正式なリーダーとして、この種の怪しげな陰謀論を公に否定せねばならないは
ずのアメリカ大統領が、今回は自ら先頭に立って、それを煽り立てている。

これらのことから「今の米国社会は一体、どうなってしまったのか」「こんなことで大丈夫なのか」というのが、
QAnonに対して良識あるアメリカ人が共通して抱く懸念や危機感なのだ。