日銀政策会合注目点:黒田総裁が物価低迷の背景や副作用に言及か
日高正裕、藤岡徹
2018年6月15日 0:01 JST 更新日時 2018年6月15日 8:28 JST
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-06-14/PA6PYV6TTDS501
エコノミスト全員が金融政策の現状維持を予想−ブルームバーグ調査
物価は予想より停滞、変更の可能性低下と三井住友アセットの吉川氏

ブルームバーグがエコノミスト45人を対象に4−6日に実施した調査では、全員が金融政策の現状
維持を予想した。年内の引き締め予想は5人(11%)と4月の前回調査(15%)から減少。来年
3月までも12人(27%)にとどまった。緩和予想は4人(9%)にとどまり、来年4月以降とみている。

  4月の生鮮食品を除く全国の消費者物価指数(コアCPI)は前年比0.7%上昇、生鮮食品エネ
ルギーを除くコアコアCPIは0.4%上昇と低迷しており、年度初めの価格改定期の値上げは不発に終
わった。2%物価目標を目指し量的・質的緩和を導入してから5年が経過したが、目標達成への道
筋は見えておらず、大量の国債購入で金利を押さえ込む政策の副作用への懸念の声もある。
  
  三井住友アセットマネジメントの吉川雅幸チーフマクロストラテジストは調査で、物価は予想より
やや停滞している印象があると分析。消費税が予定通り実施されることを前提とすると、「近い将来、
政策の枠組みが変更される可能性はさらに低下した」との見方を示した。副作用として金融機関の
収益性低下を挙げたものの、「すぐには政策運営には影響しない」と説明した。

  エコノミストの間では、現在の金融政策の限界が近づいているとの見方も出ている。調査で、副作
用の累積や技術的な限界を考慮した上で、長期金利0%、短期金利マイナス0.1%の金利操作が
いつまで持続可能か聞いたところ、1年が8人(18%)、2年が12人(27%)、3年が13人(29%)と、
2年以内に限界が来るとの見方が半数近くに達した。