阿部:株式投資は常に余裕資金で行うべきですが、何に投資するかということでいえば
例えばスパークスは配当利回りが3パーセント前後で、10年後にも必ず残っているであろう
日本のメガバンクなどの会社に投資しています。バフェット氏に大きな影響を与えたベンジャミン・グレアム氏の言葉を使えば、
こうした株は十分な「安全余裕率」があります。
日本のメガバンクが世界的なレベルでの効率性があるかと問われたらそこまではわかりませんが、
いま銀行預金なら利息がほとんどゼロのところが、こうしたメガバンク株を持てば3パーセント前後の配当利回りになるわけです。
ここから正常なインフレの時代になれば、銀行は今より収益を上げやすくなる。利益が増えれば当然配当額も増えるるので、
狙い目だと思います。

松本: 個人投資家で、個別銘柄に投資するのはどうかという人もいます。ETF(上場投資信託)などの「インデックス投資」でも十分でしょうか。

阿部:インデックスで十分と言うよりは、銀行の預金に置いておくよりは、インデックス投資で配当をもらうほうがいいということです。
ウォーレン・バフェット氏でさえも、十分に時間のない投資家にはETFへの投資を勧めています。
ただ、投資にかける時間が十分にある人は、もちろん個別に企業を選ぶほうがいいと思いますね。

武者:私はもう少し、大胆に対応できると思っています。例えば日本でも米国でも個人金融資産のうち大体3割が
年金保険の準備金なんですね。違うのはそれ以外の金融資産です。自由になる資金を100として見ると、
日本は現預金がそのうちの7割で株式投信が2割、米国はまったく逆で、7割が株式投信で、現預金は2割なんです。

武者:確かに「米国はリスクを取りすぎだ」という批判はあるにせよ一方では日本も極端に現金が多い。日本人というのは
極めて正常ではないリスク感覚のもとで間違った投資をし続けているのです。私に言わせれば借金をして株を買うということが
今ほど効率のいい時期はありません。ある程度の安全資金があり時間的な余裕がある方には私はレバレッジを効かせた投資をお勧めしますね。
セクターとしては、阿部さんがおっしゃった金融セクターは、まさしくこうした投資に向いていると思います。