1 3日の東証マザーズ市場で、システム開発のインフォテリア(3853)株がわずか7秒間で2割以上も急落する場面があった。
超高速取引(HFT)を手掛ける市場参加者が現行の制度の盲点を突いて、取引を行っているようだ。

 異変が起きたのは午後1時ちょうど。インフォテリアが2017年4〜9月期決算を発表した時だ。
前週末に比べ5.9%高の1357円を付けていたインフォテリアの株価はその後、7秒間で21.9%安の1000円に下げた。
株価が短時間に急変動する「スパイク」という現象だ。

 東証は2010年、個別の株価が一定の限度を超えて変動するのを抑えるために「連続約定気配」という制度を導入した。
気配値が更新値幅の2倍を超えて動きそうな時、連続約定気配を表示して売買を最大で1分間停止する措置だ。

 ただ、この措置には盲点がある。たとえば株価の下落場面で連続約定気配が付いた場合、
同じ水準で買い注文を入れると売買停止が解除になるため、あらためて売り注文を出して株価の一段安を誘発できるという。
インフォテリ株の場合、2秒の間に連続約定気配が7回発動されたが、それぞれ瞬時に買い注文が入り、結果として急落に拍車がかかった。

 スパイクが起きるのは「一定の時間内にあらかじめ決められた注文量をこなすアルゴ売買が集中するためだ」(外資系証券トレーダー)とされる。
今回のインフォテリアの場合、たとえば通期業績見通しの据え置きが発表されると一定の売りを約定させるといったプログラムが組まれていた可能性がある。

 日本取引所グループ広報・IR部は今回のインフォテリア株の急落について「事実は確認しているが、個別の対応についてコメントできない」としている。

 スパイク現象は相次いで起きている。今年2月には東ソー株がわずか19秒で21%安になった。
アルゴによる株価急変動が横行するようなら、個人投資家の株式離れが進みかねない。〔日経QUICKニュース(NQN) 太田明広