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 事の起こりは昨年3月。くら寿司について、あるユーザーが「ここは無添くらなどと標榜(ひょうぼう)するが、
何が無添なのか書かれていない。揚げ油は何なのか、シリコーンは入っているのか。果糖ブドウ糖は入って
いるのか。化学調味料なしと言っているだけ。イカサマくさい。本当のところを書けよ。市販の中国産ウナギ
のタレは必ず果糖ブドウ糖が入っている。自分に都合のよいことしか書かれていない」と、インターネットの掲
示板に書き込んだ。
 これに対し、くらコーポレーションは「社会的評価が低下し、株価に影響を与えかね
ない」として、プロバイダー業者に書き込みをした人物の個人情報の開示を要求した。しかし、プロバイダー
業者は「書き込みは意見・論評にすぎない上に真実だ」として開示を拒否していた。
 プロバイダー業者が
開示しない姿勢を変えなかったため、くらコーポレーションはプロバイダー業者に開示を求めて提訴するに至
った。
 そして今年4月、東京地裁はくらコーポレーションの請求を棄却した。「書き込みはくら社の社会的
評価を低下させるものではない。仮に低下があり得るとしても、書き込みには公益性があるため違法性は
ない」との判断を下している。
 また、判決では「くら社は4大添加物(化学調味料・人工甘味料・合成着
色料・人工保存料)以外の添加物の使用の有無はホームページなどで表示しておらず、書き込みは重
要な部分で真実だ」と断じている。
 この裁判の判決や一連の対応により、くらコーポレーションは評判を
大きく落とした。ブランドに“無添”と冠していることから、あらゆる食品添加物について「無添加」と思ってい
た消費者も少なくなかったが、「無添」は「無添加」の意味ではなく単なる屋号だと再認識させる結果とな
った。また、「疑問を呈されたら誠実に事実を答えればいいのに、言論抑圧するような姿勢は受け入れられ
ない」といった批判も多かった。

ニュースサイトで読む: http://biz-journal.jp/2017/10/post_21124_2.html
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