米国とトルコの関係がさらに悪化 米総領事館職員の逮捕で
http://www.sankei.com/world/news/171011/wor1710110037-n1.html

 【ダマスカス=佐藤貴生、ワシントン=加納宏幸】トルコの司法当局が在イスタンブール米総領事館の現地職員を逮捕し、米国とトルコがそれぞれ
非移民ビザ(査証)の発給を停止する事態に発展し、冷え込んでいた両国の関係がさらに悪化している。米国務省のナウアート報道官は10日の
記者会見で逮捕の真意が不明だとし、「非常に失望している」と非難した。

 米メディアによると、トルコ当局は先週、米総領事館に勤めるトルコ人職員を逮捕。トルコのエルドアン政権が昨夏のクーデター未遂の「黒幕」だと
主張する米国在住のイスラム指導者、フェトフッラー・ギュレン師らの組織と関係があったとしている。

 これに対し、ナウアート氏は「トルコ政府の主張を裏付ける証拠はない」と否定し、ビザ発給の再開にはまずトルコ人職員に弁護士との接見を
認めることが必要だと強調。クーデター未遂関連のトルコ人職員の逮捕は2人目で、トルコ当局はもう1人の引き渡しを要求しているという。

 トルコは北大西洋条約機構(NATO)の加盟国で中東地域をにらむ地政学上の重要な位置にある。だが、近年はギュレン師の身柄引き渡しを
求めるトルコ側の要求に米側が応じず、関係が悪化していた。

 トルコはイスラム教スンニ派過激組織「イスラム国」(IS)掃討作戦でも、自国内の非合法クルド人組織の「分派」とみなすシリアのクルド人勢力
への米国の支援に反発。関係悪化が掃討作戦に影響を及ぼすとの見方もある。

 これに対し、米国防総省のマニング報道部長は10日の記者会見で、IS掃討のため米軍が駐留するトルコ南部インジルリク空軍基地は引き続き
重要な役割を果たしているとし、「作戦に影響はない」と述べた。