大学スポーツ4years2020/11/29
https://4years.asahi.com/article/13974093
最初のフェイスオフを石井ヴィクトール慶治(2年、慶應義塾ニューヨーク学院)が競り勝ち、慶應の攻撃から試合が始まった。早稲田に30秒間の一時退場者が出ている間に立石が先制点。試合再開のフェイスオフも石井が取り、そのまま攻めて立石が2点目をあげた。早稲田はタイムアウトを要求して立て直しを図る。それでも慶應の勢いは止まらず、第1クオーター残り13秒で立石の左斜めからのシュートが決まり、3-0で第1Qを終えた。
第2Q開始のフェイスオフは石井がホイッスル前にクロスを動かしてしまったため、早稲田ボールで始まった。そのまま早稲田はシュートまでもっていったが、ボールは枠外。続くボールも早稲田がとり、慶應ディフェンスを切り崩してシュート。慶應のゴーリー野上達也(3年、慶應)がこれをセーブし、攻撃へ。慶應は隙を狙ってシュートを放ったが、今度は早稲田のゴーリー佐藤真(4年、早大学院)が好セーブを見せる。第2Qは双方得点ならず、3-0で試合を折り返した。
第3Q開始のフェイスオフの流れで慶應の中根之斗(2年、慶應)がロングシュートを決め、4-0。早稲田はフルフィールドで強いプレスをかけ、慶應のボールダウンを誘発。追いかける早稲田は冷静にボールを回して慶應の守りを崩し、開始5分、森久優太(3年、早稲田本庄)のシュートで待望の1点をあげた。続くフェイスオフも慶應がものにして攻めたが、得点につながらず。早稲田はファウルで続けざまに一時退場者を出してしまったが、フルフィールドでボールを狙い続け、少しずつ早稲田に流れを引き寄せた。
第4Q開始2分には早稲田の片山浩平(4年、上田西)のシュートが決まり、4-2。激しい攻防戦が続く中、残り2分でゴールの裏から回り込んだ北野夏飛人(3年、明星)がまくりシュートを決め、4-3と1点差に迫る。しかし残り1分、慶應の根岸克(4年、慶應)が早稲田ディフェンダーに囲まれながらシュートを放ち、ダメ押しゴール。早稲田は最後の最後までボールを追ったが、ここでホイッスル。慶應メンバーの元にベンチメンバーも全員駆けつけ、喜びを爆発させた。
全日本大学選手権大会を連覇してきた早稲田の強さを、慶應も嫌というほど見せられてきた。慶應主将の立石も「正直、対戦する前は不安や怖さはありました」と振り返る。ただそれ以上に、そんな早稲田に対しても自分たちなら勝てる、と自信をもって決勝の舞台に立つことができた。
慶應義塾高校(神奈川)時代にラクロスを始めた立石は、「いつか社会人チームにも勝って日本一になる」という思いを胸に、ここまでやってきた。高校時代にも主将になり、目標であった2部昇格を果たした。そして大学に進んでからもチームが勝つためにどうしたらいいのかを考え、個人の力を磨いてきた。昨年の関東大会では東京大学に3-4の1点差で敗れ、決勝を逃した。最後の1年はなんとしてもチームを勝たせたい。その思いで自ら主将に名乗り出た。
新型コロナウイルスの影響で今年3月には練習ができなくなり、再開できたのは6月になってから。その間も全員の心が離れないよう、オンラインでトレーニングとミーティングを重ねてきた。しかし、全国大会中止には落胆を隠せなかった。「この7年間、社会人を倒しての日本一を目指してきたので、悔しい気持ち、どこを目指せばいいんだろうという気持ちはありました」。そこから4年生で話し合い、チーム目標を「関東地区での優勝」に切り替え、もう一度チームメートと気持ちひとつで戦ってきた。
この決勝で立石は第1Qのうちに3得点を決め、慶應に流れをもたらした。自分が先制点を、という思いがあったのかとたずねると、「そこは本当に全く考えていませんでした。誰かが取ってくれたらいいなと思っていて、たまたま僕にボールが回ってきただけなので、そこはチームメートに感謝です」と否定した。試合中も「ベンチから盛り上げていこう」と声をかけ、全員がひとつになって戦う雰囲気を大切にしていた。
下級生の時から点取り屋として活躍してきたが、主将になってチームを引っ張るようになってからは、チーム全体が強くなるために何をすべきかを考えてきたという。立石に対し、関根幹祐ヘッドコーチは「自分で考えて主体的に行動できる選手」と話す。そんな立石がチームの先頭に立つことで、選手たちもチームのために考えて行動し、今年の隙のない強さが育まれてきた。
最後に慶應応援歌「若き血」を歌う時、みんなが笑顔の中、立石は次第に涙ぐみ、続きが歌えなくなっていた。「高校生の時から7年間続けてきて、正直、つらいことも苦しいこともありました。でもそれ以上にこの一勝は大きいなと思って……。そしたら自然と涙が流れてしまいました」
今年は社会人に挑む全国大会がない。(長文の為一部抜粋)
https://4years.asahi.com/article/13974093
最初のフェイスオフを石井ヴィクトール慶治(2年、慶應義塾ニューヨーク学院)が競り勝ち、慶應の攻撃から試合が始まった。早稲田に30秒間の一時退場者が出ている間に立石が先制点。試合再開のフェイスオフも石井が取り、そのまま攻めて立石が2点目をあげた。早稲田はタイムアウトを要求して立て直しを図る。それでも慶應の勢いは止まらず、第1クオーター残り13秒で立石の左斜めからのシュートが決まり、3-0で第1Qを終えた。
第2Q開始のフェイスオフは石井がホイッスル前にクロスを動かしてしまったため、早稲田ボールで始まった。そのまま早稲田はシュートまでもっていったが、ボールは枠外。続くボールも早稲田がとり、慶應ディフェンスを切り崩してシュート。慶應のゴーリー野上達也(3年、慶應)がこれをセーブし、攻撃へ。慶應は隙を狙ってシュートを放ったが、今度は早稲田のゴーリー佐藤真(4年、早大学院)が好セーブを見せる。第2Qは双方得点ならず、3-0で試合を折り返した。
第3Q開始のフェイスオフの流れで慶應の中根之斗(2年、慶應)がロングシュートを決め、4-0。早稲田はフルフィールドで強いプレスをかけ、慶應のボールダウンを誘発。追いかける早稲田は冷静にボールを回して慶應の守りを崩し、開始5分、森久優太(3年、早稲田本庄)のシュートで待望の1点をあげた。続くフェイスオフも慶應がものにして攻めたが、得点につながらず。早稲田はファウルで続けざまに一時退場者を出してしまったが、フルフィールドでボールを狙い続け、少しずつ早稲田に流れを引き寄せた。
第4Q開始2分には早稲田の片山浩平(4年、上田西)のシュートが決まり、4-2。激しい攻防戦が続く中、残り2分でゴールの裏から回り込んだ北野夏飛人(3年、明星)がまくりシュートを決め、4-3と1点差に迫る。しかし残り1分、慶應の根岸克(4年、慶應)が早稲田ディフェンダーに囲まれながらシュートを放ち、ダメ押しゴール。早稲田は最後の最後までボールを追ったが、ここでホイッスル。慶應メンバーの元にベンチメンバーも全員駆けつけ、喜びを爆発させた。
全日本大学選手権大会を連覇してきた早稲田の強さを、慶應も嫌というほど見せられてきた。慶應主将の立石も「正直、対戦する前は不安や怖さはありました」と振り返る。ただそれ以上に、そんな早稲田に対しても自分たちなら勝てる、と自信をもって決勝の舞台に立つことができた。
慶應義塾高校(神奈川)時代にラクロスを始めた立石は、「いつか社会人チームにも勝って日本一になる」という思いを胸に、ここまでやってきた。高校時代にも主将になり、目標であった2部昇格を果たした。そして大学に進んでからもチームが勝つためにどうしたらいいのかを考え、個人の力を磨いてきた。昨年の関東大会では東京大学に3-4の1点差で敗れ、決勝を逃した。最後の1年はなんとしてもチームを勝たせたい。その思いで自ら主将に名乗り出た。
新型コロナウイルスの影響で今年3月には練習ができなくなり、再開できたのは6月になってから。その間も全員の心が離れないよう、オンラインでトレーニングとミーティングを重ねてきた。しかし、全国大会中止には落胆を隠せなかった。「この7年間、社会人を倒しての日本一を目指してきたので、悔しい気持ち、どこを目指せばいいんだろうという気持ちはありました」。そこから4年生で話し合い、チーム目標を「関東地区での優勝」に切り替え、もう一度チームメートと気持ちひとつで戦ってきた。
この決勝で立石は第1Qのうちに3得点を決め、慶應に流れをもたらした。自分が先制点を、という思いがあったのかとたずねると、「そこは本当に全く考えていませんでした。誰かが取ってくれたらいいなと思っていて、たまたま僕にボールが回ってきただけなので、そこはチームメートに感謝です」と否定した。試合中も「ベンチから盛り上げていこう」と声をかけ、全員がひとつになって戦う雰囲気を大切にしていた。
下級生の時から点取り屋として活躍してきたが、主将になってチームを引っ張るようになってからは、チーム全体が強くなるために何をすべきかを考えてきたという。立石に対し、関根幹祐ヘッドコーチは「自分で考えて主体的に行動できる選手」と話す。そんな立石がチームの先頭に立つことで、選手たちもチームのために考えて行動し、今年の隙のない強さが育まれてきた。
最後に慶應応援歌「若き血」を歌う時、みんなが笑顔の中、立石は次第に涙ぐみ、続きが歌えなくなっていた。「高校生の時から7年間続けてきて、正直、つらいことも苦しいこともありました。でもそれ以上にこの一勝は大きいなと思って……。そしたら自然と涙が流れてしまいました」
今年は社会人に挑む全国大会がない。(長文の為一部抜粋)