大坂なおみが8月27日にしたことは、ごく「普通」のことだ。
何世紀もの間、非人間的な扱いや警察の残虐行為、社会的不公正や不平等、そして構造的人種差別に反対の声を上げてきた多くのアフリカ系アメリカ人と同じように、声を上げただけだ。何ら特別なことではない。黒人のアスリートという立場にしても同じだ。
無論、今年だけでも3750万ドル(約40億円)の収入があり、世界の一流企業がスポンサーにつく世界で最も稼ぐ女性アスリートの1人でもある彼女の声は、大陸をまたがって響きわたるくらいの大きな影響をもつ。一般の人と比べれば、その声は相当奥深くまで轟き、より多くの人の心を捉える。しかし、それでも、彼女の声は何千万もの人びとの声の1つにすぎない。大坂の素晴らしいところは、それを承知していることにある。
■図らずして日本人を議論に巻き込んだ
今回のことが「普通」でないのは、黒人の命にまったく関心のないアメリカの警察に異議の声を上げるに当たって、大坂が日本国民に賛同を呼びかけることもなく、この問題に対してどういう立場をとるかという議論に日本全体を巻き込んだことだ。
大坂は、日本で「ブラック・ライヴズ・マター(BLM)」にほとんど関心が払われていないことをよくわかっている。しかし、彼女の世界中のファンやフォロワーたちは、長年にわたって日本のメディアから疑わしいメッセージを受けとってきたがゆえに、憶測を広げるよりも、「知りたい」と思っているのではないだろうか。
というのも、日本のメディアは時折、黒人を人種差別的に描写する傾向があるからだ。実際、ほんの数週間前、公共放送局であるNHKが人種差別的な黒人の映像をテレビで放送したが、厳しい批判が殺到すると、配慮に欠けていたとして謝罪した。
大坂は日本を代表するテニスプレーヤーとして全米オープンに出場し、自動車や航空会社、化粧品、ラーメンなどさまざまな「日本の商品」に関連するテレビCMに登場している。
「知りたい」と思っている人々が、黒人に対する社会的不公正や人種差別に対する彼女の見解が、日本のファンに共有されているのか、日本のスポンサーに認められているのか、知りたがるのは、ごく当然である。
彼らは間違いなく今回の件についてツイッターを見るだろうが、(「このツイートを翻訳する」という便利なボタンを押したときに)、そこで何を知り得るのだろうか。
■ツイッターに並んだ日本人からの批判
彼女が今回、強烈な注目を浴びることにより、アリシア・ギブソンやアーサー・アッシュのようなテニス界のレジェンドは無論のこと、モハメド・アリ、ビル・ラッセル、ジム・ブラウン、ジェシー・オーエンス、カリーム・アブドゥル・ジャバー、トミー・スミス、ジョン・カーロス、ジャッキー・ロビンソン、さらにはコリン・キャパニックといった名だたる黒人アスリートたちに連なること、そして、疑問を投げかけたアスリートたちの何人かは厳しい処罰を受けたことを知り得るのだろうか。可能性はある。
大坂は決してたった1人で声をあげたわけではない。MLB、NBA、そしてWNBAに所属するチームや、有名アナウンサーまでもが、今こそ社会不正に反対する立場を表明すべきだと判断している。こうした状況は、確実に彼女に影響を与えた。
今年初めに悲劇的な死を遂げたNBAのレジェンド、コービー・ブライアントがまだ生きていたとしたら、今回もいつものように立ち上がり警察の残忍さと不正を非難していたに違いない。大坂はかつてコービーからもらった感動的な文章に強く影響を受けていた。
こうしたすべての背景を彼らは知り得るだろうか。可能性は低い。
実際、大坂が準決勝に出ないことを発表してから、ツイッターには「あなたはもう日本人ではない」「アスリートが政治的立場をとるべきではない」「そもそも撃たれた黒人が悪い」「もうあなたが出ている会社の商品は買わないし、テニスも見ない」といった否定的なコメントが並んだ。
大坂は「警察の手で黒人の虐殺が続いているのを見ていると、正直はらわたが煮えくり返る」とつぶやいたが、「知りたい」と思っている人々は、日本のSNSではこれに対する批判のコメントが圧倒的に多いことを知ることになるのではないか。
全文はソース元で
https://news.yahoo.co.jp/articles/0b6bce2124c559bc69ebd5a7e7cdd84b70e4ef51
https://amd.c.yimg.jp/amd/20200831-00372055-toyo-000-1-view.jpg
何世紀もの間、非人間的な扱いや警察の残虐行為、社会的不公正や不平等、そして構造的人種差別に反対の声を上げてきた多くのアフリカ系アメリカ人と同じように、声を上げただけだ。何ら特別なことではない。黒人のアスリートという立場にしても同じだ。
無論、今年だけでも3750万ドル(約40億円)の収入があり、世界の一流企業がスポンサーにつく世界で最も稼ぐ女性アスリートの1人でもある彼女の声は、大陸をまたがって響きわたるくらいの大きな影響をもつ。一般の人と比べれば、その声は相当奥深くまで轟き、より多くの人の心を捉える。しかし、それでも、彼女の声は何千万もの人びとの声の1つにすぎない。大坂の素晴らしいところは、それを承知していることにある。
■図らずして日本人を議論に巻き込んだ
今回のことが「普通」でないのは、黒人の命にまったく関心のないアメリカの警察に異議の声を上げるに当たって、大坂が日本国民に賛同を呼びかけることもなく、この問題に対してどういう立場をとるかという議論に日本全体を巻き込んだことだ。
大坂は、日本で「ブラック・ライヴズ・マター(BLM)」にほとんど関心が払われていないことをよくわかっている。しかし、彼女の世界中のファンやフォロワーたちは、長年にわたって日本のメディアから疑わしいメッセージを受けとってきたがゆえに、憶測を広げるよりも、「知りたい」と思っているのではないだろうか。
というのも、日本のメディアは時折、黒人を人種差別的に描写する傾向があるからだ。実際、ほんの数週間前、公共放送局であるNHKが人種差別的な黒人の映像をテレビで放送したが、厳しい批判が殺到すると、配慮に欠けていたとして謝罪した。
大坂は日本を代表するテニスプレーヤーとして全米オープンに出場し、自動車や航空会社、化粧品、ラーメンなどさまざまな「日本の商品」に関連するテレビCMに登場している。
「知りたい」と思っている人々が、黒人に対する社会的不公正や人種差別に対する彼女の見解が、日本のファンに共有されているのか、日本のスポンサーに認められているのか、知りたがるのは、ごく当然である。
彼らは間違いなく今回の件についてツイッターを見るだろうが、(「このツイートを翻訳する」という便利なボタンを押したときに)、そこで何を知り得るのだろうか。
■ツイッターに並んだ日本人からの批判
彼女が今回、強烈な注目を浴びることにより、アリシア・ギブソンやアーサー・アッシュのようなテニス界のレジェンドは無論のこと、モハメド・アリ、ビル・ラッセル、ジム・ブラウン、ジェシー・オーエンス、カリーム・アブドゥル・ジャバー、トミー・スミス、ジョン・カーロス、ジャッキー・ロビンソン、さらにはコリン・キャパニックといった名だたる黒人アスリートたちに連なること、そして、疑問を投げかけたアスリートたちの何人かは厳しい処罰を受けたことを知り得るのだろうか。可能性はある。
大坂は決してたった1人で声をあげたわけではない。MLB、NBA、そしてWNBAに所属するチームや、有名アナウンサーまでもが、今こそ社会不正に反対する立場を表明すべきだと判断している。こうした状況は、確実に彼女に影響を与えた。
今年初めに悲劇的な死を遂げたNBAのレジェンド、コービー・ブライアントがまだ生きていたとしたら、今回もいつものように立ち上がり警察の残忍さと不正を非難していたに違いない。大坂はかつてコービーからもらった感動的な文章に強く影響を受けていた。
こうしたすべての背景を彼らは知り得るだろうか。可能性は低い。
実際、大坂が準決勝に出ないことを発表してから、ツイッターには「あなたはもう日本人ではない」「アスリートが政治的立場をとるべきではない」「そもそも撃たれた黒人が悪い」「もうあなたが出ている会社の商品は買わないし、テニスも見ない」といった否定的なコメントが並んだ。
大坂は「警察の手で黒人の虐殺が続いているのを見ていると、正直はらわたが煮えくり返る」とつぶやいたが、「知りたい」と思っている人々は、日本のSNSではこれに対する批判のコメントが圧倒的に多いことを知ることになるのではないか。
全文はソース元で
https://news.yahoo.co.jp/articles/0b6bce2124c559bc69ebd5a7e7cdd84b70e4ef51
https://amd.c.yimg.jp/amd/20200831-00372055-toyo-000-1-view.jpg