桐生は東洋大の陸上部員から胴上げされた。9秒台突入を祝って、9回宙に舞った 陸上・日本学生対校選手権最終日(10日、福井県営陸上競技場)男子100メートルで、日本選手で初めて10秒の壁を突破する9秒98をマークした桐生祥秀(21)=東洋大4年=が来春の卒業後、プロ契約選手ではなく、企業に所属するアマチュア選手として競技を続ける方針であることが10日、分かった。快挙から一夜明け、土江寛裕コーチ(43)が注目される進路について言及した。桐生は卒業後も東洋大を拠点に活動し、日本記録更新と2020年東京五輪でのメダル獲得を目指す。
列島を歓喜の渦に包んだ衝撃のレースから一夜明け、桐生は快挙を肌身で受け止めているようだった。
「テレビでニュースが流れていたり、新聞の1面記事になっていたりして、実感が湧きました」
レース後は取材に追われ、床に就いたのは午前3時。携帯電話を確認し、反響に驚いた。「『タイムを出すと親戚(しんせき)が増える』なんていわれるけど、誰だろうという人から本当に連絡が来た」。祝福の通知は400件以上。9秒台一番乗りを争ってきた山県亮太(25)=セイコーホールディングス=から「おめでとう」とメッセージをもらい、「感動して泣きそうになった」。疲労を考慮し、この日出場予定だった200メートルは棄権したが、表情は明るかった。
桐生とともに10秒の壁を破り、前夜に祝杯を挙げたという土江コーチは、余韻に浸りながらも次を見据える。まな弟子は4年生。2020年東京五輪でのメダル獲得を目標とするスプリンターとして、進路の決断は大事になる。土江コーチは、プロ契約選手ではなく、企業に所属するアマチュア選手として活動する方針を示した。
「プロでなく、会社に入る形で考えている。複数の社と話を進めている。陸上部のある企業も、(陸上部を)持たないところもある」
日本の短距離勢では、今夏の世界選手権(ロンドン)代表のケンブリッジ飛鳥(24)=ナイキ=がプロランナーとして活動。プロになり複数のスポンサーがつけば、支援を受けて活動の幅を広げられる一方、結果次第では生活が保証されない。快挙を達成した桐生のスポンサーに名乗りを上げる企業が殺到することも考えられるが、土江コーチは「競技を終えた後も働き続けられる可能性のある企業を探している」と強調した。
桐生が卒業後、アマチュア選手として活動する場合でも、4年間過ごした東洋大から心強いバックアップを受けられる。陸上部が拠点を置く埼玉・川越キャンパスの体育館を取り壊し、屋内陸上競技場を建設中。来春の完成を予定する。80メートルの3つの直線走路に人工芝のレーンも設ける。桐生が競技に集中できる環境は整っている。プロ転向せず、セイコーホールディングスに入社し、母校の慶大を拠点とする山県に似た進路といえる。
「日本選手で、9秒台を出したから満足するという人は誰もいない。『9秒98』の日本記録はどんどん変わる。自分でも、もっと速くしたい」
次は10月に開催される愛媛国体の400メートルリレーに出場する予定。夢の領域に足を踏み入れた21歳は、立ち止まらずにアクセルを踏み続ける。 (鈴木智紘)
★最高速度は秒速11・67メートル
日本陸連の科学委員会は10日、男子100メートルで桐生が9秒98を出した9日のレースの最高速度は秒速11・67メートルだったなどとする分析データを公表。10秒の壁を破るために必要とされる11・60メートルを上回った。過去のデータでは桐生は100メートルを48歩程度で走る。追い風1・8メートルの好条件に恵まれた今回は47・3歩だった。1秒で最大5歩に達する高速ピッチも維持した上で、ストライドがやや伸びたことも快挙につながった。
★プロとアマの違い
陸上や水泳、体操競技などのプロ契約は、個人がスポンサーと個別に契約を結び、競技を続けることが多い。プロになれば練習に専念することができ、成績を残すことで多額のスポンサー料が入るが、活躍できなければスポンサーが離れ競技を続けることが困難になる可能性もある。
一方のアマチュア契約は、企業や会社などに就職し、競技を続ける。“会社員”でもあるため収入は安定するが、就職先によっては社内業務などがあり、自身の競技にだけ専念することができないこともある。
(以下略、続きはソースでご確認下さい)
SANKEI DIGITAL INC.
2017.9.11 05:05
http://www.sanspo.com/sports/news/20170911/ath17091105050001-n1.html
列島を歓喜の渦に包んだ衝撃のレースから一夜明け、桐生は快挙を肌身で受け止めているようだった。
「テレビでニュースが流れていたり、新聞の1面記事になっていたりして、実感が湧きました」
レース後は取材に追われ、床に就いたのは午前3時。携帯電話を確認し、反響に驚いた。「『タイムを出すと親戚(しんせき)が増える』なんていわれるけど、誰だろうという人から本当に連絡が来た」。祝福の通知は400件以上。9秒台一番乗りを争ってきた山県亮太(25)=セイコーホールディングス=から「おめでとう」とメッセージをもらい、「感動して泣きそうになった」。疲労を考慮し、この日出場予定だった200メートルは棄権したが、表情は明るかった。
桐生とともに10秒の壁を破り、前夜に祝杯を挙げたという土江コーチは、余韻に浸りながらも次を見据える。まな弟子は4年生。2020年東京五輪でのメダル獲得を目標とするスプリンターとして、進路の決断は大事になる。土江コーチは、プロ契約選手ではなく、企業に所属するアマチュア選手として活動する方針を示した。
「プロでなく、会社に入る形で考えている。複数の社と話を進めている。陸上部のある企業も、(陸上部を)持たないところもある」
日本の短距離勢では、今夏の世界選手権(ロンドン)代表のケンブリッジ飛鳥(24)=ナイキ=がプロランナーとして活動。プロになり複数のスポンサーがつけば、支援を受けて活動の幅を広げられる一方、結果次第では生活が保証されない。快挙を達成した桐生のスポンサーに名乗りを上げる企業が殺到することも考えられるが、土江コーチは「競技を終えた後も働き続けられる可能性のある企業を探している」と強調した。
桐生が卒業後、アマチュア選手として活動する場合でも、4年間過ごした東洋大から心強いバックアップを受けられる。陸上部が拠点を置く埼玉・川越キャンパスの体育館を取り壊し、屋内陸上競技場を建設中。来春の完成を予定する。80メートルの3つの直線走路に人工芝のレーンも設ける。桐生が競技に集中できる環境は整っている。プロ転向せず、セイコーホールディングスに入社し、母校の慶大を拠点とする山県に似た進路といえる。
「日本選手で、9秒台を出したから満足するという人は誰もいない。『9秒98』の日本記録はどんどん変わる。自分でも、もっと速くしたい」
次は10月に開催される愛媛国体の400メートルリレーに出場する予定。夢の領域に足を踏み入れた21歳は、立ち止まらずにアクセルを踏み続ける。 (鈴木智紘)
★最高速度は秒速11・67メートル
日本陸連の科学委員会は10日、男子100メートルで桐生が9秒98を出した9日のレースの最高速度は秒速11・67メートルだったなどとする分析データを公表。10秒の壁を破るために必要とされる11・60メートルを上回った。過去のデータでは桐生は100メートルを48歩程度で走る。追い風1・8メートルの好条件に恵まれた今回は47・3歩だった。1秒で最大5歩に達する高速ピッチも維持した上で、ストライドがやや伸びたことも快挙につながった。
★プロとアマの違い
陸上や水泳、体操競技などのプロ契約は、個人がスポンサーと個別に契約を結び、競技を続けることが多い。プロになれば練習に専念することができ、成績を残すことで多額のスポンサー料が入るが、活躍できなければスポンサーが離れ競技を続けることが困難になる可能性もある。
一方のアマチュア契約は、企業や会社などに就職し、競技を続ける。“会社員”でもあるため収入は安定するが、就職先によっては社内業務などがあり、自身の競技にだけ専念することができないこともある。
(以下略、続きはソースでご確認下さい)
SANKEI DIGITAL INC.
2017.9.11 05:05
http://www.sanspo.com/sports/news/20170911/ath17091105050001-n1.html