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証人出廷したAさんは、普段はナンパに応じることはなかったが事件の日は少し事情が違っていたと述べた。
「当時付き合ってた彼氏と喧嘩して、その前にも友人と飲んでたんですが、喋り足りない気持ちだったので、まあいいかなと」思ったのだそうだ。傍聴席や渡部被告からその姿が見えないように置かれた衝立の奥から、細々と語る。

「被告人からベッドに放り投げられたあと、ストッキングを脱がされて……おそらく、やられてしまったのかなと思いました。
すごく具合が悪かったのですが、自分が元気だったら、意地でも逃げたいという気持ちでした……その後はほぼ覚えてないです。気づいたら、大瀧の顔が目の前にありました。
記憶がかなり曖昧ですが、そのときも、やられてしまった状況になると思う」

 事件後は塞ぎこみ、メンタルクリニックなどに通っていたという。

「まあ、かなり今回のことショック……ショックすぎて相談できず、話すらできなくて、結構落ち込んでしまっていました。何回も……夜寝る前とか、何も考えない時間帯に思い出しました。
ショックというか、最悪というか、私的にはダメージが大きかったのでずっと引きずる状況でした。でも自分自身の過ちだと思っていたので、警察に相談しようという気持ちは正直なかったです。
酒は飲まされていましたが、飲んで潰れた自分が悪いと思っていました」