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Bさんは意見陳述で、渡部被告の言い分に疑問を呈している。

「ナンパ師だと言っているわりに、女性の気持ちをわかっていない。被告人は、私が覆いかぶさって『エッチしたい』と言ったなどと言いました。しかし被告人は、クラブで声をかけて解散するまでの音声を録っていました。
動画も撮っていました。『冤罪に巻き込まれないように』と言っていましたが、なぜ大切な“私が覆いかぶさって『エッチしたい』と言った”場面の証拠がないのでしょうか?
他の共犯者の尋問でわかりましたが、私は事件の日、自分が思っていたよりたくさん飲まされていました。また被告人は事件の日の動画を消さないと言っており、不安が続いています。
そして裁判ではAさん、Bさんではなく『女A』、『女B』と呼ぶ……見下しているように……その一方で『ナンパしたら必ず女がセックスしたくなる』などと言っており、ナルシスト過ぎて気持ちが悪くなります」

 こうした陳述もあったうえ、懲役14年を求刑されたのちの最終陳述でも、渡部被告は自身のスタイルを崩すことはなかった。

「女Aについて、タクシーで帰れば帰れたはず。一般常識的にセックスの同意があると考えるのは当然。女Aは非常識。女Bもその友人も嘘だらけ。口裏合わせの供述をしている。性的欲求、意思に基づき、セックスしたと考えるのが合理的……」

 Cさんについての陳述は省略し、最後にどうしても言いたいことがあれば言うように裁判長に命じられた渡部被告は、最後にこうきっぱりと言った。

「被害者のふりをして嘘の話をする人間を信用し、冤罪の判決を出している。明らかに真実でない話をしている人間を信用することなく、公正な判決を下されることを望みます」

 3月12日の判決では、彼の望みは叶うことはなく、Aさんたち被害者、共犯らの証言から被害者が「抗拒不能」な状態にあり、渡部被告はそれに乗じて性交したと東京地裁は認定した。