永劫の車輪

私はこの村のしきたりが嫌いだ……
この村では、娘の結婚が決まると
懐妊能力の有無を確かめる事が義務付けられていた。

その相手には、決まって村長が選ばれる。
この村に生まれた以上、私に拒否権はない。
たとえそれが、私の母を無実の罪で幽閉した
クソ野郎だとしても。

それから毎晩、腹の中で子種が泳ぎ回るようになった。
ぐるぐると、ぐるぐると、ぐるぐると
ぐるぐると、ぐるぐると、ぐるぐると……

儀式から解放された後も、その感覚は消えない。
ぐるぐると、ぐるぐると、ぐるぐると……
私の腹を泳ぎまわる子種の感覚は、生涯消える事はない。
この村にいる限り、ずっと……。