ある日智絵里の枕元に黄緑色の観音ぞ立ちたる。
「其方に品を授け奉らせむ」
人これを露具陰棒茄子と言ふ也。
果たしてわらしべあり。
首を傾げつつも智絵里出かけるに、道端に我那覇君あり。
「はいさいすれども、いと耳痒し」
「可哀想也。此れで掻いては如何か」
件のわらしべを渡せり。
「これは忝なく候。ああなんくるなきや、なんくるなきや」
礼として苦瓜を受け取りたり。黒光りして権太(ごんぶと)なり。

智絵里また道を往くこと、今度は美穂に遭遇す。身をよじりていささかおかしげ也。
「如何為された」
「恥ずかしながら人寂しきに付き、体疼く也。宜しければその権太をお貸し下さりませ」さめざめと言ふらむ。
はて、何に使うのかと智絵里、苦瓜差し出せり。然し、
「否。其ちらではなく」
「あっ」
美穂擦らば、智絵里の股座より権太飛び出せり。いと薩摩芋の如し也。
「御料理得意なり」「頑張りにて候」
何処から寄り響子と卯月現れり。
かくして智絵里、搾られたり。
かかる人見て曰く、女三人寄れば姦しく(ぴんくちぇっくすくーる)す。
ものども艶々になりたし。

なほ、苦瓜は未亡人の三船受け取りにつき、夜に美味しく頂けり。
めでたしめでたし。