三勤務労働制


「三勤務労働制……という言葉は知っていますか」
「三勤務労働制? 何を言っている?」

ふむ、やはり知らんか。もっともそれは仕方のない話なのかもしれない。
この案は私が前の世界に居たときから抱いていた新しい制度だ。知らぬのも当然だろう。
「簡単に言いますと朝は奴隷が働きます。昼は貴族が働き夜は農民が働く、
こうやって朝、昼、晩と位毎に仕事を分けるのです」

つまり、奴隷は朝だけ働けば良くて貴族は昼、農民は夜と働く時間を決めておくのだ。
こうする事によって皆が同じ時間分働く事ができ不公平がおきない。
短期間で集中して仕事もできるから作業能率も上がりゆっくりと休憩時間も取ることができる。
今までは奴隷と農民が一日中作業をやっていたから、疲労が溜まり仕事の成果が上がらなかったのだ。

そこに貴族が加わり、タイムシフトも取ることで相互扶助の関係を構築していくのだ。
その事に気づいた騎士達がざわめき始める。今までに無かった新しい発想だ当たり前と言えるだろう。
「なるほど、ずっと貴族は仕事をしていなかったからな。貴族も仕事をさせれば負担が減るって訳か」
「今までそんな発想考えたことも無かった。まさにこの政治体制の盲点を突いた政策って訳か」