それで、本を読んでる三毛猫に魅入ってた。
なんか心がざわざわした。笑って俺の話を聞いてくれる三毛猫がまるで別の人みたいで。
どうからかってやろうとか、声を掛けようとか思ってると三毛猫と目があった。
そして三毛猫はフッと俺に向かって微笑んだ。
その顔がいつも見せる笑顔じゃなくて、慈しむような、優しいような、泣いているような、なんとも形容しがたい顔だったんだ。少なくとも俺の言葉じゃ表せない。でも、凄く綺麗だった。顔に熱が込み上げるのが自分でも分かった。無性に三毛猫に触れたくなった。まるでアニメのワンシーンみたいだなぁなんて働かないアタマで考えてたと思う。
その後は、すっかり元通りになった三毛猫といつものように他愛の無い話をした。
でも、心臓がバクバク五月蝿かった。