1983年に発見されたヒト免疫不全ウイルス(HIV)は、感染すると後天性免疫不全症候群(エイズ)を発症し、ほどなく死に至るイメージが未だに強い。
しかし近年では、感染しても発症を抑える治療や、発症しても抗ウイルス薬治療を続ければ非感染者とほぼ同じ水準の余命を生きられる。とはいえ完治
が難しいため、一生、治療を継続しなければならない。そのエイズウイルス(HIV)感染が、九州で急増している。なぜ、そのような地域性
があらわれたのか、ライターの森鷹久氏が追った。
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 九州でエイズ患者、エイズウイルス感染者が急増──。

 9月19日に九州のブロック紙「西日本新聞」が報じた記事によれば、2016年の福岡県内のHIV感染者、エイズ患者の新規報告者数が合計92人で過去
最多、前年と比べて61%も増えており、隣接する佐賀や熊本でも感染者や患者が急増中だという。関東甲信越エリアではほぼ「横ばい」なのに比べて、九州エリアだけ32%も増加しているのはなぜなのか。

 筆者は一昨年に、日本国内で急増していた「梅毒」が、実は大陸、特に中国からの観光客によって持ち込まれたものではないか、とする記事
にコメントをした。「何でもかんでも外国人のせいにするな」というお叱りも受けたが、そう分析したのには、しっかりと根拠があった。

 
訪日観光客、とくに中国からの観光客が激増し、ときを同じくして中国国内で梅毒患者が急増していること、そして日本へやってきた中国人観光客の
一部が、日本の風俗を積極的に利用していたこと。さらには中国人観光客を受け入れた風俗店店長らへの聞き込みなどを総合すると、梅毒は「中国など、大陸から持ち込まれたもの」と類推できた。
 
今回もまた同様に、九州に蔓延するエイズが中国などの大陸方面から持ち込まれたのではないか、と考えられる複数の要因が浮かび上がる。