それから半日ほど、途中フードコートで休憩するなどを挟みながらユウキのプレゼントを探しまわったが、結局これと言ったものは見つからなかった。
 そろそろ帰らねえと、母さんが晩飯を用意し始めるころだろう。
 このままでは埒が明かないと思い、たまたま電気屋の前を通りかかったこともあり俺はある提案をした。

「ノ―パソとかどうだ? それかタブレットなんかも喜ぶかもしれん」
「どうしてよ」
「俺が推薦決まった時、お祝いってことでノーパソ貰ったんだが、ユウキが結構羨ましそうに見ていてな」

 ネットとかそういうのが、実はユウキは結構好きなのかもしれない。
 しかし姉貴は俺の意見をにべもなく却下した。

「ダメよ。ユウキはまだ十四歳よ? そんなもの与えて、ネット依存にでもなったらどうするのよ」

 スマホがあるんだからその心配は今更かと思うが。

「ダメったらダメ。十四歳って多感な時期だから何かの影響を受けやすいのよ。あんた、ユウキが四六時中どっかの匿名掲示板に入り浸るような残念な子になったら責任とれるの?」

 いろいろと、心情的にすごいブーメランを食らった気がする。

「ならどうするんだ。正直俺はもうお手上げだぞ……」
「はあ……。元はと言えばあんたが悪いんだからね? あたしはちゃんとこの日のためにリサーチを怠らないように指示を出してたはずよ!」

 姉貴は俺の努力を知りもしないで否定してくる。
 確かに結果は得られなかったが、俺だって夕食の席でユウキにそれとなく、いや、かなり直接的にプレゼントの候補を訊いてみたつもりだぞ。
 そこで俺の脳裏に先の夕飯の光景がフラッシュバックする。
 正確には、思い出したのは景色ではなく音声なのだが。

「そうだ。……あれなら喜ぶかもしれない」

 俺は思い付いたことを姉貴に話した。
 姉貴にしては珍しく俺の意見に耳を傾けた後、神妙に頷くとぱっと表情を綻ばせていった。

「……あんたにしてはいい考えね。それでいきましょう!」