二人の命のやり取りを傍観しながらロックが言った。

「――雪緒ちゃん」

 きちり、と銀二の日本刀が音を立てる。
 レヴィが空になったカートリッジを抜き出す。

「俺は――……思い違いをしていた。バラライカさんと同じにならない方法はあった、君はそれを――選ぶものとばかり思っていた」

 二頭の獣が再び牙を剥く。
 銃撃と剣戟が鬩ぎ合う中で、既に手遅れであることを理解しながらロックは続けた。

「ここに君がいるのは、組のためなんかじゃない。君は、銀さんと共に逃げるべきだったんだ」

 標的を外した弾丸が境内の絵馬を撃ち抜き、空振りした日本刀が石畳みを抉る。

「――俺は君の言うとおり、夕闇にたっている。
 ……だから、だからこそ見えることもある――
 君は、ダイスを投げてなんかいなかった、投げたつもりになってただけだ」

 レヴィと銀二が、次の刹那に決着を予感する。
 再び失われた間合いは両者に死を予感させ突きつけた。
 ガギ――と、鈍い音。
 銀二の日本刀が二丁拳銃の右を叩き切った。
 レヴィの体は振り抜かれた日本刀の勢いに押されて仰向けに倒れた。
 その隙を銀二が見逃す筈がない。
 切っ先をレヴィの脳天に向け、刀の柄を両手で握る。
 後はそれを振り下ろすだけで決着がつく。当然レヴィの反撃は間に合わない