自分語りスレというものを建てたいと思ったので建てた(自己完結)
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また殴られるんかなーとか思いながら恐る恐る戸を開いたら、ぎこちない笑顔の父さんが椅子に座って「ちょっと来い」って手招きしてた
大体見てきたのが怒った顔だったから、俺は不思議に思いつつも席に座った
そしたら父さんは円卓の上に置いてあるでっかい何かを指さして「おう、食えや」みたいな事を言った
テーブルにはよく見るとケーキが置いてあった
俺が初めて祝ってもらった誕生日
ロウソクも刺さってて吹き消したりなんかもした
祝い慣れてない父さんも心無しか嬉しそうで俺も嬉しかった
でもケーキは不味かった
>>5
質問随時受付中
書き溜めはしてない
反省はしている とんで2年後の春
晴れて小学生になった俺は無事いじめられていたらしい
声がキモイとか口がクサイとかお前の母ちゃんでべそとかイヤお前俺の母ちゃん死んどるわと思いながら俺はいじめに耐えた
というか虐められてるって知らなかった
それを教えてくれたのが初めて出来た親愛なる友ボンちゃん(偽名)
ある日いつもの如く俺が引き出しに入れたはずの筆箱を探してたら、前の席から鉛筆がニョキっと差し出された
差出人はボンちゃん
ボンちゃんはその時「いじめはする方が100%悪いけん!」という有難いお言葉もプレゼントしてくれた
俺は「そやろか」と言ってその鉛筆を受け取った
俺のマイベストフレンドとの初めての会話 その日から何か知らんけど事ある毎に目の前にボンちゃんが現れた
俺が延髄チョップを喰らいかけた時
うんこ入りの便器に顔を押し込まれた時
死ね死ねコールを浴びせられた時
なんか知らんけど現れた
死ね死ねコールの時は面白かったわ
「しーねっ、しーねっ」ていじめっ子グループに囲まれよった時に「スグルは死なんわー!」って叫びながら乱入してきよったから、俺が「えっいつか死ぬやろ」って言ったらボンちゃん含めみんな「えっ」て顔しよったの笑える
いや文面だと伝わりにくいけど本当にシュールだった
俺なんであの時あんな悟ったみたいなセリフ言ったんかなーと思ったけど今考えたら父さんの受け売りだったわ で小三の頃
まあだいぶ仲深まったなーって自分でも漠然と思ってた頃合いで俺はボンちゃんに自分の将来の夢を打ち明けた
というのも、昼休みの時間に何でだったかなー……何かそういう話題になって、ボンちゃんが二時間サスペンスの刑事ばりに机に片腕乗せて俺に将来の夢を聞いてきた
多分その圧にやられて自白したんだと思う
「そうやねー……大きくなったら王になりたい」
そう言った記憶がある
ボンちゃんは「いいやん!」と言ってくれたけど多分二人共とち狂ってたんだと思う
言いっ放しもなんだからってボンちゃんの夢も聞いたけど「公務員」だった。いやお前そこ堅実なんかい
でもまさか俺が大きくなる前にその夢を叶えてしまうだなんて、この時は思いもしなかった……(伏線) 一旦ボンちゃんは話の隅に置いといて、その頃の家庭事情も書いとく
というのもここら辺の経験が俺の人格形成に八割くらいの影響を与えたと言っても過言だわ書いてて思ったけどそれは過言だったわすまん
まあ六割くらいは与えてた
まあーーーー虐待されてた
凄い虐待されてた
そんじょそこらの虐待がただの乳繰り合いに見えるくらい虐待されてた
父さん土木作業員なんだけど、仕事で何かストレス溜まっとんか性欲溜まっとんか知らんけどもうそれはそれはオリンピック選手も顔負けのエネルギッシュな虐待だった
父さんが持てば皿も空き缶も座布団も全部武器になる
まるで傭兵だった おいそこ座るなだのやれ早く来いだの俺はお前のペットかと
虐待されるにつれて段々俺は10歳にもならずして哲学的な思考を持つようになった(ドヤ顔)
人は何故生きる事に執着するんだろうとか人は何故怒るんだろうとか
それでもまだ子供だったからその時は大体「人はなぜ〜」から始まる疑問が殆どだった
教えてアルプスのモミの木
そんな不毛な疑問の中でも俺は一つ確固たる結論を得た
「人は何故怒るのか?」
それは「期待するから」だ
「全ての怒りはあらゆる期待から生まれる」
これは俺が今日まで持ち続けている数少ない持論の一つだ
この答えを得ただけでも、もしかしたら虐待という経験も俺には糧となるものだったのかもしれない 虐待の話を他人に打ち明けると「ひどい父さんだね」とか「親として失格」とかいう人がめちょめちょ多い
確かに俺は最初の頃こそ父さんを恨んだ事もあった
早くくたばりやがれとも思った
でもその答えを得た日から俺は父さんに期待するのをやめた
「今日は平和に過ごせるかもしれない」「今日はここで殴られないかもしれない」「今はここで話しかけても怒られないかもしれない」
そんな希望的観測を父さんに対してやめたその日から、俺には父さんの悲しみが見えるようになった
色んな辛い事があるんだろう、母さんが居なくなって寂しいんだろう、会社で上手くいってないのかもしれない……
父さんを許しはしてない
でも少なくとも、「期待しない事」は「気付く余裕」に変わり、確かにそれは「許しの足掛かり」になった
と、鼻くそほじりながら考えた7歳の秋 さてそんな小一病を拗らせた俺の家庭事情だったがもういいや面倒臭い、舞台を学校に戻す
俺が王になる為にはどうすればいいのか
小四に上がり「高学年」の称号を無理やり押し付けられた俺は、王になる為の努力をしてない事に焦燥感を抱いていた
そもそも「王」とは何なのか?
俺は藁にもすがる思いでボンちゃんに問うた
問うた……けどなんて返事されたかは覚えてないので多分クソしょうもない返答だったんだと思う
とにかく形だけでも王になろうと思って俺は王になりきる事にした
王のロールプレイだ
王たるもの他人から虐げられていたんでは話にならない
それまでは特に意識してなかった俺に対するイジメだったがその時俺は初めて、まずこの問題を解決せねばと思い行動に移した これより突然だが俺の王への道奮闘記を記す
なりきりプレイその一
『常に庶民の変化に気を配る』
ある朝、いじめっ子が髪を短く切ってスポーティになってたので隣に近寄りすかさず「スポーティだな!」と発言
ぶん殴られる
恐らくスポーティを何かの悪口だと思ったんだろう
俺もあんまりスポーティが何なのかよく分かってなかったから「短髪=スポーティ」という連想で軽率な発言をしたことを反省した
殴られて当然だと思った なりきりプレイその二
『日々勤勉たるべし』
ちなみにこのサブタイトル的なのは俺が今考えただけで、小学生の頃は漠然とした王のビジョンに基づいて実際にやってみているだけである
授業で「分かる人〜」と言われたら考えるよりまず先に挙手
当てられたら儲けもん、じっくり考えてから回答
嘘をつくのは悪い事なので熟考した末分からなければ無駄に足掻かずに「分かりません!」と回答
結果先生からは「ふざけないでね」と言われいじめっ子からは「は?だるお前」「ふざけんなちゃ」「ぶち〇すぞ!」と言われる
俺は何が間違ってるのか分からなかったが、次第に「分かってて手を挙げてる人に申し訳ないな……」と思いこれは辞めることにした なりきりプレイその三
『何事にも動じてはならない』
大体筆箱を隠すとかそういう精神的な嫌がらせは何故かこの頃の俺は全く動じてなかったが、流石にすれ違いざまにボディブローとか雑巾を顔面に押し付けられると否が応でも反応してしまう。悔しいけど感じちゃうのだ
でもそれでは王の威厳が丸潰れである
なので俺はそういう物理的な攻撃も極力小さな反応で応じる努力をした
いきなり殴られても「ぐっ……ぅ」と般若面の顔真似で対応
階段から突き飛ばされても転がり落ちながら(自分の中では)華麗なステップで復帰
雑巾を頭上から絞られても髪をかきあげて水もしたたるいい男感を演出していた
これは結構上手くいったつもりだったが、俺の反応が面白かったようで、皮肉な事にいじめはどんどんエスカレートしていった 確か半年は続けた気がする
色々と試したが、結局俺はある時ふと重大な事実に気付いてしまった
俺 は 王 に な れ る 年 で は な い 小学生にして王になるのは時期syosoだという事に、かなり時間を置いてから気付いてしまった
今やるべきは、王になりきる事ではなく王になる資質を磨くこと
記憶が曖昧だが王になりきっている間ボンちゃんとも深く交流してなかった気がする
自分の名誉の為に友を疎かにするのは本末転倒
その時点で王足りえないのだと ふぅ……
とりあえず20レスはいけたわ
ここからは時間が空き次第まったり書いてく
バーーーーっと勢いで書いたから疲れた……死のう……
dat落ちの条件とかよく知らないんだけどこんだけ書いたら流石に即死は無いよな どこまで書いたっけかと思って読み返してみたら小学生だから王になれないって所までか
悲しいよな
俺はそれからいつか来たるべき王就任の時までは、極力自分が王になるという事は忘れておくことにした
おくことにしたのだが……
中学生になった俺は本当にそれを忘れてしまった
将来の夢が変わったのである
子供の夢はコロコロ変わるものだから仕方の無い事でもある
悲しい事にそれからしばらくは俺がその夢を思い出すことはなかった
でも悲しい事だけではなかった
中学に上がると俺へのいじめが軽減されるようになった
うちの地元は小学校が近い所に二つあって、それからまた近い所に中学校がある
この二つに通う生徒の半数は、この同じ中学に行く事になるのだ
生徒の総数が増えた事で俺の存在が希薄になり、いじめ自体が少なくなったって訳だ
水で薄めたカルピスみたいなもん(?) でも中一になって急にイジメが無くなったもんだから俺は逆に心配になった
え?皆俺の事見えてる?もしかして俺は死んだの?
そう思っていた
でもボンちゃんは変わらずよく話し掛けてきてくれたから、どうやら死んではないらしい
イジメが軽くなったって言っても、別に皆急に俺をチヤホヤし始めた訳じゃなく、軽い嫌がらせとか俺への態度は全く変わっていない
書いてて思ったが、そりゃあ新しい環境に入りたての頃は皆とりあえず様子を見るよな
真っ先にこいつイジメたろ!みたいな奴はクラスで浮いてしまうリスクもあるから恐らくそれで一時沈静化したんだろう
20年越しに真実が分かってしまった さて、俺は夢が変わったと言ったが、今度の夢は「王になる」みたいな馬鹿げたものじゃなかった
俺もこの頃から段々と常識という物が身についてきたらしい
かと言って普通で平凡でなんの面白みもない大人にだけはなりたくない!
いっちょまえにそんな生意気な思考はあった
結果俺の中で出した答えは「小説家」だった
非現実的でも現実的でもない微妙な夢だとお思いだろうが、なんと驚くべき事に当時の俺は
100%なれる!なれて当然!すまん、なれない奴おる?wくらいに思っていた
俺は外で遊んだりするのはあまり好きではなく、昼休みはもっぱら図書館で本を読み耽っていた
恐らくそれが小説家という途方もない夢を抱くきっかけになってしまったんだと思う 小説家になるからにはやっぱり豊富な知識がないとまず話にならない
そう思った俺は勉強を頑張った
国語、数学、化学、歴史、もちろん美術なんかも含めて全ての教科の知識を強化しようとした
教科を強化しようとしたのだ
もう一度言う
教科を強化しようとしたのだ
その甲斐あってか、俺は中間テストや期末テストでは基本的に100点、低くても90点を下回る事は無くなった
俺の小学校時代を知らないクラスメイトからは、
「スグル君って頭良いんやね!」
「優等生やん」
など多数の高評価をいただきました
誠に恐縮でございます 生意気注意報発令
以下の文章には生意気な表現が含まれております
生意気アレルギーの方は閲覧を御遠慮下さい
生意気が苦手な方は医師に相談の上、十分注意してご閲覧下さい
しかし俺はクラスメイトに褒められる度に、嬉しいと同時に腹立たしかった
知識は「頭の良さ」という括りで見れば、それが占める割合はもの凄く少ない部分だ
何故なら知識は「知っているだけ」であって、頭の容量的には誇示する意味があるものの、それ以外の何物でもないからだ
俺がテストで100点を取っているのは勉強したから
授業で教えられた事を知っただけに過ぎない
どんな知識も教えられれば誰だって知る事が出来る
それなのに俺の事を頭が良いと言うのは、単に自分が授業を真面目に聞きたくない、テストで低い点を取っちゃうのを
「あいつは頭がいいから自分より点数が高いんだ」と決めつけて無理やり納得させているに過ぎない
そんな事を鼻くそほじりながら考えた中一の夏 言い訳をさせて貰うと、別にイキってた訳じゃない
本気でそう考えていただけだ
でも確かに周りからそう言われ始めて、優等生というキャラクターを演じ始めていた自分がいた事も事実である
現に、ボンちゃんからの遊びの誘いもそれまではノータイムでOKしていたがその時期は、
「ごめん、今日は図書室で本を読むから」
と誘いを断る事も多くなった
図書室で本を読みたかったのは本当だが、「図書室で本を読む自分」に酔っていた節もある
まあボンちゃんは毎回図書室についてきてくれたんですけどね そんな折、またも俺に2つの運命的な出会いを果たす
という事で事件その一
『雨天に降り掛かる災厄!?あの人は見た!』
俺は昼休みのチャイムがなると同時に、誰よりも早く席を立ちいつものように図書室へと向かった
この日はボンちゃんが休みだったため一人で歩いた
朝から雨が降っていて、いつもは直線距離で行くところを、中庭に隣接する渡り廊下を通って行く事にした
その道の途中には体育館がある
入学から約半年、部活に入った新入生達は先輩の指導のもと日々練習に切磋琢磨している
半開きの扉の向こうから気合いの入った掛け声が篭もり気味に俺の耳へと伝わってきた
俺はその練習風景を頭に描き、俺も部活に入れば良かったなぁとか思いながらその前を横切ろうとした
横切ろうとしたら、転んだ
入口前のマットに足を取られて後頭部を盛大に強打した
それだけならまだ良かったが、直後に後方からゲラゲラと笑い声が聞こえ始めた この時の記憶は未だに頭で動画再生出来るくらい印象に残っている
突然の事に呆気に取られて馬鹿みたいに仰向けで硬直していた俺の顔を、見た事もない男子生徒が覗き込んだ
俺が何か口にしようとした瞬間それを遮って
「えっ?www転んだんお前?何で?www普通転ばんやろそこでwwwそこで転ぶ奴初めて見たwwwアホなん?wwwウケるwww」
と怒涛の煽り文句が飛んできた
俺は普通転ばんやろと言われても転んだんやからしゃあないやろと腹を立てた
まさか煽って来るとはミジンコ程も思ってなかったので何を言っていいのか分からず、俺は「しらん!」と意味不明な言葉を口にし自力で起き上がろうとした
そしたらそいつがあろう事が手を差し伸べてきたのだ
やだ……イケメン……?
だが当時の俺はその小さな気遣いにもイラッと来て、結局自力で立ち上がった
出会いは覚えてるのにそこから何であんなに仲良くなったのか覚えてない
俺のマイベストフレンドとの出会いその2 前レスで言ったベストフレンドその2はパンサー向井に似てるので、以降名前を向井とする
事件その二
『裸踊りがもたらす悪夢の再来!』
俺はハッキリ言って裸が好きだ
でもそれは女性の裸に限った話であって、野郎の裸なんか見ても全く勃起しないしむしろ萎える
何でそんな事を話すかと言うと、例によって俺は昼休みに図書室に行こうとしていた
廊下を歩いていたら、ボンちゃんが「ねぇ今隣の教室で面白いことありよるらしいよ!見に行こうや!」と言ってきた
俺はその前に何でいつの間に隣にいるんだこいつと思ったが、面白いことと噂されるほど面白いことに興味を持ち、ボンちゃんと一緒にそこに行くことにした
教室で待ち受けていたのは、とても面白いとは形容しきれない、イジメの現場だった どうやらいじめられっ子のデブ男子が無理やり服を脱がされ、踊る事を強要されているらしい
何故か知らんがデブはヘラヘラ笑いながら、踊りそうで踊らない微妙なラインの動きを維持していた
焦らし上手である
ちなみにこのデブはデブなので名前はデブとする(無慈悲)
よく見るとデブはヘラヘラしているものの半泣きである
俺はドン引きしながらボンちゃんの方に顔を向けた
ボンちゃんもドン引きしていた
どうやらいじめっ子の構成員が教室に宣伝して回っていたらしく、ボンちゃんもまさかイジメが行われているとは知らなかったらしい
俺はこのまま回れ右して図書室に行っていいものか悩んだ イジメの現場を見て知らんぷりしておくのも気分が悪い
かと言ってこのまま見続けるのも傍観者みたいでそれも嫌だ
結局俺は何も出来ずにただ情けなく突っ立っていた
俺もイジメを経験した事あるから他人事とは思えなかった
(この時は既に俺は小学生時代の経験がイジメだったと理解していたから)
見てると踊りを強要しているいじめっ子側の一人が、
「誰かこのデブ殴りたい人ー!」と募集を募り始めた
そんな奴おるわけないやろ……と思っていたら案の定誰も、面白がって見てはいるものの舞台に上がるのはゴメンだって感じだった
いじめっ子はちょっと待った末、周囲をキョロキョロし始めた
ここで俺はどこかに行くべきだったのかもしれない
いじめっ子と目が合ってしまった
MajiでKoiする5秒前 いじめっ子ってのはどうやらいじめやすい子に鼻が利くらしい
俺と目が合った瞬間何かを感じ取ったかのように、
「あっじゃあ君さぁ、ちょっと来て!」
と観客を招く司会者ばりの気迫で手招きしてきた
ボンちゃんが「行かんでいい行かんでいい……!」と小声で必死に腕を掴んで来たが、
俺も俺で「ここで逃げるのは癪」という謎の男気さんが心の中でチラ見してきたので、出来るだけ堂々と、肩で風を切りながらポケットに両手突っ込んで歩き始めた
もうこうなったらいじめられっ子の素質があるという才能を見抜かれてはならない
俺は周囲の生徒に「ちょおっとごめんねぇ〜」と言いながら野次馬の群れの間を割いて闊歩した
そして俺を呼んだいじめっ子の顔になるべく接近し、多分数センチくらいの顔面距離で「なぁにぃ〜?」とメンチを切った いじめっ子は俺の迫真のオラオラ演技にも全く動じず、「あっうん、ちょっとさぁ」と話を進めだした
こいつ……只者じゃない!
「ちょっとこいつ殴ってん?こう、こう、こう」
いじめっ子は突如その場でシャドーボクシングを始めた
俺に殴り方をレクチャーしたいらしい
でも今の俺はオラオラなので、殴り方なんて数多の場数を踏んできたから知ってるという設定だ
俺は「あー、OKOK」と心の中で冷や汗を書きながらこれどうしようと必死に頭を働かせた
殴ったらイジメに加担した事になるしデブにも悪い
いくらデブは弾力があるからと言って、ノーガードの中学生に思いっきりパンチを食らわせたら流石に痛いだろう
俺はガリガリだけど多分痛いはずだ
痛くあって欲しい
それくらいの腕力が自分にはあると信じたい
思考が混線する中、俺は閃いた >>42
有り難き
殴るのがイジメなら殴り合えば良いじゃない!
マリーアントワネットもビックリの逆転の発想で、俺は何とかこの場を切り抜けられないかと思った
「でもただ殴るだけやとつまらんしさぁ……」
「ボクシング、しようや☆」
俺の人生史上イキった場面ベスト5に入るキモイ台詞を口にし、周囲の反応を伺った
周りの生徒は俺の痛々しさにドン引きしていたような記憶があるが、いじめっ子だけは何故か反応が良かった。苦笑いしてたけど。
「あ〜いいやん!じゃあ名前は?」
この時俺は「スグルだ。覚えとけ」と言いたくてたまらなかった気がする
実際は多分「あっスグルです」みたいに名乗った
「じゃあスグルVSデブ!レディ〜ファイ!カンカンカン!」 さあ一ラウンド目
裸のデブと服を来たガリガリの因縁の対決が始まる
デブは「えっ?えっ?」とまだ状況が飲み込めてなかったようだが、この試合はそんな迷いや困惑が一番の敗因になるのだ
俺がとりあえずファイティングポーズを取ると、デブもファイティングポーズなのかウンコ気張ってんのかよく分からんポーズで答えてくれた
とりあえず勝負を仕掛けなければ話にならないので、俺が先手を仕掛ける事にした
あんまり痛くないようにデブの腹をペチッと殴った
まあジャブみたいなもんだ
俺が人生で初めて故意に人に暴力をふるった瞬間である
実際マジで痛くなかったんだろう、デブは頭に「?」を浮かべたような顔をして首を傾げた
段々腹立ってきたわこいつ、リアルで首傾げていいのは可愛い子だけなんだよ
そんな事を思った記憶がある
しかしこの様子だとデブは反撃してきそうにない
デブが反撃してこなければ俺がしてるのは結局一方的に暴力をふるうイジメと何ら変わらない
どうしよう!助けて!誰か助けて!
あっ……!そうだボンちゃん助けて!
小学生の時みたいに俺を助けて!
チラッとボンちゃんのいた方を見る
い な い 絶望した
ボンちゃんは変わってしまったのだ
イジメの現場を目にして逃げてしまう臆病者に
……いいや、そんな事は誰だってする
ボンちゃんは悪くない
普通になっただけだ
ボンちゃんはいつまでも友達だ……!
俺の中で謎の葛藤が生まれたが、そんな事は今はどうでもいい
絶望ばかりもしてられない
この状況を打破するのは自分に他ならない、誰かを頼っている時点で駄目なんだ
そう自分に言い聞かせた
「ほら〜、やれや!デブも殴れや!頑張れ〜デブwww」
いじめっ子が健気に応援する事によって、俺のイタさにドン引いていたクラスの野次馬も次第にガヤを飛ばすようになった
「いけ〜!負けんなデブー!」
「頑張れデブー!」
「デブ殴れ!みぞおちを殴れ!」
もしかして俺はアウェーなのか?
しかし俺はへこたれずにその流れに乗じてデブを挑発した
「ホラ、殴ってこんのか?ビビっとんかデブwww」
わざと煽った デブはデブの癖にデブと言われたら怒り始めた
苛立ちがあからさまに顔に出た
まあ確かにいきなり現れた謎のキモくてイタいガリガリ男にデブだの何だの罵倒されたらそりゃ怒るだろう
だがこれはデブの為そして俺の為でもある
デブが殴ってこなければ俺も困る
「そんなんだからデブなんだよ」
色々と煽った中のこの発言、よっぽどデブの琴線に触れたらしい
デブはさっきまでヘラヘラ笑いながら裸でモジモジしてた奴の顔とは到底思えない、鬼のような表情に変わり始めた
「ん〜ふぅ〜……!!!!」
デブは腰を深く落とし今にも螺旋丸を打ち込みそうな体勢で構えた
えっ?ちょっと待って?
そんな感じで来るの?待って待って煽ったのはごめんてでも待って
俺そんな本気でいってないしそもそも俺殴ったの一発だけだしそのあとベラベラ喋ってただけだし
俺ガリガリだしあと俺今うんこ漏れそうだしデブにそんな感じで構えられたら流石に命の危険感じるしあと俺うんこ漏れそうだし
殴られるまでの数秒間で俺は死を覚悟した
直後デブは自らの体重全てを拳に乗せて、パンチと言うにはいささか凶暴性に溢れ過ぎた、タックルとも形容出来るようなそんな一撃を俺のみぞおち目掛けてお見舞した
いやお前みぞおち狙うんかーい、かーい、かーい……
殴られて吹っ飛ぶ間やまびこのようにその言葉が頭の中にこだました気がする 殴られて吹っ飛ぶ
漫画だけの話だと思っていた
俺の貧弱な体は教室前方から教室後方まで綺麗に吹っ飛んだ
傍から見ればそれはそれは綺麗なアーチを描いていたと思う
後ろの机や椅子を盛大に巻き込みながら、まさにドンガラガッシャン的な音を立てて俺は背中から着地した
痛かったのは痛かったが、幸いにも俺は日常的に家で暴力を受けていたので、痛みに耐性があった
それよりもまず吹っ飛んだことに自分で驚いていた
数秒間息が出来なかったのも驚いた
それまでやいのやいの言っていた周りは俺が吹っ飛んだ瞬間ピタリと静寂に包まれた
いじめっ子も野次馬も、皆俺とデブを交互に見ていた 程なくして、ボンちゃんが呼びに行っていた生活指導的な先生が駆けつけるなり怒鳴り散らした
ボンちゃん、そういう事だったのか……
許してくれメロス、俺はちらと君を疑った
事の顛末は事実と同じ形で先生に伝わり、いじめっ子が一番怒られ二番目に俺が怒られた
うちの先生からはイジメに関する指導の方針を帰りのホームルームで語っていた
多分隣のクラスでもそうだっただろう
しかしそんなただお説教でイジメが無くなるなら、全世界の学校はとっくにいじめゼロになっている
デブがいじめられることは少なくなったらしいが……
俺へのイジメが再び怒り始めた
理由は自分でも分かる
あの事件で見せた数々の痛い発言や行動、貧弱な体つき、キモイ声……
まあ再び起こっただけで元々経験していた事なので大したダメージはなかったが、それでもやっぱりそれからの日々は憂鬱だった とまあこれが小卒から中一の頃の学校の話
マジでただの自分語りだから別にオチとかはないけど許してヒヤシンス
これからもこんな感じでちょっとずつまったり書いてく
このペースだと次あたりに本格的にヤバい出来事の話に書けそうだから楽しみにしてる(自己完結)
また時間空いたら書きますわ
読んでくれた人ありがとう 中二になった夏休み、俺は小説家になるという夢を叶える為にとある大きな決断をした
それは文藝会新人賞に応募する事だ
確か初秋の頃くらいに締切があって、夏休み丸々使って小説を書きあげればギリ応募出来ると思った
夏休みの課題なんかは超優等生の俺は数日で全て終わらせ、小説を書くことだけに全てのエネルギーをぶつけられる環境を整えた
ボンちゃんから遊びに度々誘われたので、当初昼間に家で書く予定だった俺は、次第に近くの市民センターでボンちゃんと一緒に過ごしながら小説を書くようになった その頃は既に向井(>>35~参照)からもちょいちょい遊びに誘われたが、奴はどちらかと言うとアウトドア派でバスケやサッカーとかがほとんどだったので俺は丁重にお断りしていた
それでもしつこく誘ってくれるので良い奴
ちなみに向井はサッカー部だった
さて、俺はいつものように市民センターにてボンちゃんの他愛のない話を聞き流しながら、必死に小説を書き進めていた
確か小説の内容は、記憶喪失の青年が記憶を取り戻そうとするが、それを進めていくうちに実は自分がとんでもないクズ人間だと発覚してしまう、みたいな内容だったと思う
俺はこの極めて陳腐な内容の書き物を、極めて稚拙な文章力で必死に表現しようとしていた
中学生の語彙力なんてたかが知れているもの
しかしこの頃の俺は自分の才能に対して全く疑いを持っていなかった ところでその市民センターは遊び部屋みたいなのがあって(というより子供の入れる場所はそこしか無かったような気がするが)、マットやブロック、小さなちゃぶ台と座布団など最低限勉強と遊びができる道具及び空間は用意されていた
夏休みということもあってかたまーに近所の小中学生が遊びに来たり、おばちゃんが受付みたいな人と雑談しに来たりしていた
だが別にそれを邪魔だとは思っていなかった
俺はその会話や笑い声、近くで鳴る車のエンジン音や蝉の鳴き声を無意識に聴きながら、リラックスした状態で書いていた
もし俺が家で一人寂しく書いていたらとっくに執筆を投げ出していたかもしれない
家で書くこともあったが、ここで書いている時はやたらと筆が軽かった
ボンちゃんに感謝だ
そうして順調に原稿用紙をクソ汚い字で埋めていたある日、事件が起こる いつものようにボンちゃんに誘われ、俺は昼から7~8時間ほどぶっ通しで小説を書いていた
途中でボンちゃんがお菓子を買ってくれたり、マットで一人遊んでいたりして、よくこんな俺と一緒に長時間居られるなと思ってた
夜も次第に更けていき、外が薄暗くなってきた時だ
見ない顔の中学生グループが市民センターに入ってきた 一目で分かった
こいつらはいじめる側の人間だ
いや、誰でも見れば分かったと思う
というのも、入ってきた3人組の内の一人は髪を金色に染め上げ、一人はゴリゴリの筋肉に真っ赤なタンクトップ、一人は金属アレルギーの人なら発狂してしまうほど衣服にジャラジャラとチェーンを付けていた
どっからどう見てもコテコテのヤンキーである
三人組はどうやらこんな時間からプロレスを開始するらしい
入ってくる時に一瞬目が合ったが、幸いにもマットは奥の方にあり俺達に構うことは無かった ボンちゃんはその三人組を一瞥して「もうそろ出ようや」と言ってきたが、俺はこの時凄くいいところで、今辞めるのは惜しかったので「俺はもうちょっとおる」と返事した
ボンちゃんはそれを聞いて一人で帰ることも無く、黙って俺のそばで座ってた
しばらくの間、奥の三人組はギャアギャア騒ぎながらマットの上でプロレスをしていた
たまにチラッと目をやると、二人の男がくんずほぐれつの取っ組み合いをし、もう一人がジャッジを行っている光景が目に入った
腐女子大歓喜
それから一時間くらいは経っただろうか、流石に疲れたらしく三人でぐでーっとマットの上に寝そべったりヤンキー座りで会話し始めた
面白かったのはどのタイミングでも三人同じ体勢だった事だ
三つ子かお前ら
俺とボンちゃんもその頃には一段落ついて、うまい棒かなんかを貪り食ってた記憶がある
突然、三人のうち一人が「何食べよーん!?」と大声で絡んできた 俺はその瞬間やっちまったと思った
もうちょっと早く帰れば絡まれずに済んだかもしれない
俺は努めて真顔で「駄菓子です」と答えた
ヤンキー達はその返事を合図に
「えー何何ー?」
「なんて?声小さいね君www」
「俺らも腹減ったけん分けてくれーん?」
とズカズカこちらに歩み寄ってきた
ボンちゃんと俺は顔を見合わせた
まだ別に何か良からぬ事態が起こった訳では無い
だが俺達は察していた
このあと面倒な事になるというのを 目の前に来た三人は白々しく駄菓子に興奮し
「おっ〇〇(駄菓子の名前、覚えてない)やーん!」
みたいな事を言って騒いでみせた
ほどなくして一人が、「それ何?宿題?」と俺の原稿用紙を見て言った
ボンちゃんはこの時すごく慌てふためいていたと思う
だがこの時の俺はどこかズレてた
自分の才能を披露してヤンキー達に尊敬され崇め奉られる未来しか見えていなかった
「小説です。文藝会新人賞に応募するものです」
俺は鼻高々と答えたと思う
ヤンキー達は一瞬キョトンとした
さぁ、ひれ伏せ!
夏休みのこんな時間まで小説を書いている趣溢れる俺に感服し、感動せよ!
くるしゅうない、ちこうよれ!
「何?ちんちんショー?」
ぶん殴ってやろうかこいつと思った 「小説です。文藝会新人賞に応募するものです」
確か同じ事を二回言った気がする
チェーン付けた野郎が「小説だってよ」と気取った態度で俺の言葉をまんまそいつに伝えた
つか何で標準語なんだこいつと思った記憶がある
「ふーん、ちょっと見ていい?」
待ちに待っていた言葉をそいつが発したので、俺は気を良くして「どうぞ」と答えた
確かこの時ボンちゃんは「あっいやっちょっと」みたいな事言ってた
俺の素晴らしい文章能力を見ればそんな生意気な態度は取れないだろう
信じて止まなかった
「えーある嫌味のように晴れ渡った朝のこと〜」
「ぇっ……!?」
まさか朗読されるとは思ってなかった
流石にちょっと恥ずかしいな……
大丈夫かなこいつ、俺の文章を読んで素晴らし過ぎて己の矮小さを恥じ自殺とかしないかな……
だが、当たり前の事だが、そんな期待はいとも容易く裏切られた
ろくに全部読みもせず、数枚だけ読んだ後奴らは急にゲラゲラ笑い始めた
「えーっなんこれキモッwwwwww」
「うわぁ……ドン引きだわ……www」
「嫌味のようにwww嫌味のようにwww」
当時の俺には予想外過ぎて思考がフリーズした えっ何で?
どこがキモイの?どの辺りが?
確かに添削途中だけど基本的な物語は成り立ってる筈だよ?
混乱で今にも奇声をあげそうな俺の肩をポン、とヤンキーの一人が優しく叩いた
「何か知らんけどこれ応募するんやろ?……やめた方がいいよ……(笑)」
今にも笑いだしそうな顔でそう諭された
俺は混乱に怒りが加わって「は?は?うぇ?うぇ?」と結果奇声をあげた
見兼ねたボンちゃんが何かフォローの言葉を投げ掛けていたが何と言っていたかは覚えてない
なんせ俺はこの時「は?」と「うぇ?」しか喋れない猿になっていたから
その時、部屋の入口の方から聞き覚えのある声が聞こえた
「おースグルー、……と〇〇?(恐らくヤンキーの名前)」
振り返ったそこに立っていたのは向井だった
どうやら向井はこのヤンキーと友達らしく、俺は勝手に年上だと勘違いしていたがヤンキー達は俺と同学年らしい
「お、向井この子知っとん?この子小説書いとるらしいんよwww」
「うん、知っとうよ」
あれ?向井知ってたっけ?と一瞬思ったが、そう言えば夏休みに入る前に言った気がする
じゃあスポーツ遊びに誘うなよ
「あ知っとん?この子ちょっとアレやね…キモいねwww」
「は?」
向井は一瞬苛立っているように見えた
俺の為に怒ってるのか?それともただ単にキモイという単語が気に入らなかっただけなのか?
その時の俺は分からなかった
そんな向井の威圧も気にせずヤンキーはとんでもない事を言い出した
「あっそうや、これ俺が捨ててあげようか?」 「いや、え?いや、ダメです、やめて」
突然に突然が重なり過ぎて俺の思考は追いつかなかった
ただそれはやめて欲しいという事だけは感じた
ボンちゃんは流石にキレてた
普段あまり怒らないボンちゃんが必死に怒り顔をして「返して!」と言ってヤンキーに挑みかかろうとした
まあそれは他のヤンキー達に「まあまあ」と適当に押さえられてた
向井は「やめとけっちゃ……」と苦笑いしながらヤンキーのすぐ近くまで歩み寄ってた
肝心の俺はというと、意味不明すぎる展開にただ棒立ちだった
ヤンキーはそれをいい事に
「じゃあ、今からこの原稿を処分しまーすwwwwww」
と破る体勢に入った
ニヤニヤしながら俺の反応をうかがった
俺は流石にまずい!と思って「やめt」と取り返そうとしたが……
時すでに遅かった
俺が必死に、何日も掛けて書き進めた原稿は、突然現れたゴリゴリヤンキーの腕力によって一瞬にして
ビリビリという音とヤンキー達の笑い声と共に
破れ去った
と同時に、誰かの拳がヤンキーの顔面に物凄い勢いでめり込んだ 殴ったのは向井だった
あの時の顔は忘れられない
秒速30回は舌打ちしてそうな苛立ちの顔にとてつもない怒りを帯びていた
ヤンキーもまさか自分が殴られるとは思ってなかったんだろう
鳩が豆鉄砲を食らったような顔でほっぺた押さえて座り込んで向井を見てた
それに追い打ちとして向井は「ぶち殺すぞ」と言い放った
殴られてみんなポカン
あれ……?この光景どこかで……
俺はそんなクソどうでもいい事を思った
段々自分が何をされたのか理解したヤンキーは、「はぁああぁ!!!??」と馬鹿でかい雄叫びをあげて向井の胸ぐらを掴んだり原稿をさらにグシャグシャにしたり発狂してた
そのあと何やかんやゴタゴタがあったが、あまりに混沌とした中学生共の喧嘩なので割愛する
その喧嘩はヤンキーの声と騒ぎを聞いて駆けつけた市民センターのおばちゃんwithおじちゃんによって終息した
おばちゃん達の良心?によって各学校への連絡などは無しになった
俺の小説の件も話そうかと思ったが、ヤンキー達の酷評でショックを受けていた俺はそんな余裕も気力もなかった ヤンキー達が先に帰らされ、おばちゃん達にはただの喧嘩として扱われ、この事件は終わった
そのあと市民センターが閉まるってんで俺達も帰らされる事になったが、ボンちゃんはギリギリまで俺の書いた原稿の欠片を必死に寄せ集めて俺に手渡してくれた
ボンちゃん確か泣いてた
何で泣いてたのか、今でも色々と考える
向井はその間ずっとブツブツ悪口を言いながら座ってた
俺は向井にお礼を言うべきだったのかもしれない
でも何故か言えなかった
何でだろうな
俺はヤンキー達からの小説の評価と、ヤンキーが帰り際最後に言い放った一言の事ばかり考えていた
「お前、マジで覚えとけよ。知らんけんな」
妙に引っかかっていた
俺の嫌な予感通りこの事件は、後の「あの事件」を起こす小さな引き金に過ぎなかったのだ……(流れるような次回への繋ぎ) 10数レスしかしてないけどやっぱ疲れるわ……
まあまったりゆっくり書くつもりだから今日はここまでで……
自分語りって意外と記憶探ったり文章にまとめたりで消耗するんだな
また時間あったら書きますわ
ありがとうございました 支援タスカル
中々時間空かなくて日にち飛び飛びですまんこ
今日の深夜例によって突如書き始める 来た
毎度毎度深夜だから書き残す形になるけど書いてく 話は前回の続きからだな
俺はこの日を境に小説の続きを書くのをやめた
俺の文章への自信というものが完全に消え失せてしまったからだ
ボンちゃんがかき集めてまで俺に渡してくれたクシャクシャの原稿用紙は、引き出しの奥の奥にしまったまま夏休みの間取り出す事はなかった
それでも捨てる事が出来なかったのは、まだ微かに未練があったからかもしれない
まあだからといって新人賞に応募する勇気はもうなかったけども 俺はボンちゃんとよく遊ぶようになった
金があまりないから近くの公園で駄弁ったり、いつも通り市民センターで喋ったり、ボンちゃんの自転車に2ケツして割と遠くに行って喋ったり……
まあとりあえず喋ってた
インドア派の俺の限界である
まるで俺は諦めた夢から目をそらすように、他の楽しいことに専念するようになった
ただこの時気掛かりだったのは、俺がよく遊ぶようになったと同時に、今まであれだけ誘ってくれた向井からの誘いがパタリとなくなってしまった事だ
俺はそれを気にする度にあの言葉を思い出していた
「お前、覚えとけよ。知らんけんな」
まさか向井の身に何か起こっているのかもしれない
夏休みも終盤に差し掛かった頃、俺は向井の家に向かう事にした ……( ゚∀ ゚)ハッ!
寝落ちしてたつつ続きを書く
向井の家に着いてチャイムを鳴らすとお母さんが出てきた
「すいません、向井君居ますか」
ボンちゃんが割と大きな声でそう聞くと、お母さんが返事をする前に奥の方の廊下から向井が出てきた
顔中絆創膏とアザまみれだったのを覚えてる
その時歩き方が変だったから多分顔以外にも何かしらあったんだろう
「帰れ」
単刀直入にそう言われた
俺の予感は的中していた
だからこそ、誰にやられたのか、いつどこでやられたのかは分からないが俺は
「帰らん」
と毅然として言うべきだと思ったし、そう言った 向井はため息をつくと何も言わずに奥に消えていった
「ごめんね、何か先週喧嘩して帰ってきてからよう分からんけど怒っとんよ。……おぉいアンタ!友達に帰れは無いやろ!……ごめんねぇ、悪いけど今日は多分あいつ出てこんけん、また近い内来ちゃらんかね?」
向井の代わりにお母さんは、こんなニュアンスの事を言って俺達を諭した
向井が喧嘩したのは先週だというのはハッキリ覚えてる
もっと早く来れば良かったと死ぬほど後悔したから 一旦退こうというボンちゃんの提案で、俺達はすぐ近くの公園で作戦会議をする事にした
まずは向井と直接話さないと何も始まらない
じゃあ向井をどう家から引きずり出すか、それが問題だ
ああでもないこうでもないとかなり悩んだ末、またもボンちゃんの提案により、俺達は手紙を書いて向井のお母さんに「本人へ直接渡してくれ」と頼むことにした
これなら向井のお母さんにも迷惑が掛からないし、こちらの気持ちを向井本人に使えることが出来る
早速ボンちゃんが家からノートとペンを持ってきて、俺達は手紙に思いをぶつけることにした 今現在、その手紙は俺が何やかんやあって持ってるので、ちょっとそのまま書く
「向井へ
出てこい。
俺がこのあいだ小説をビリビリに破られて、向井がヤンキーを殴ったけど、多分、それが原因だれかから暴力を振るわれたんやろ?
何で出てこんの?俺は1回直接会ってしっかりお礼と話を聞きたいし、ボンちゃんも心配しとる。
警察に言えば良いと思うし、ボンちゃんもそう思っとる。
とりあえず出て来ないと話にならないので出てきて下さい」
読み返すと謎に高圧的だし、この言い方だと俺がお礼を言われたいみたいになってるが、この手紙で俺の中学生の頃の語彙力を察してくれ
兎にも角にも、俺達はその手紙を向井のお母さんにに渡した
お母さんが嬉しそうな顔をしてたのを覚えてる その次の日から、俺とボンちゃんは向井の家が目視出来る公園で遊ぶようになった
遊んでる途中に家から向井が出てくればそれを現場で拘束し、問いただす
言わば張り込みである
来る日も来る日もアメニモマケズカゼニモマケズ俺達はその公園で遊んだ
向井の家をチラチラと見ながら
そしてついに、もうすぐ始業式が来るくらいのギリギリの日に、俺達はついにその現場を押さえた 向井が俺達の気も知らずにポケットに手ぇ突っ込みながら外にブラブラと歩いていくのを目撃した
「ボンちゃんボンちゃん!あれ、向井やない?」
「あっ……あっホントや!行こ!」
向井の姿を確認するなり俺達は全速力で向井のもとに駆け出した
「おーい!向井くーん!!!」
ボンちゃんが走りながら大声で叫び掛けると、向井は一瞬だけこちらの顔を見てギョッとした後突然逃げ始めた
何故逃げる!
メタルスライムもビックリの逃げ足の速さで、向井の姿はどんどん遠くなっていく
流石サッカー部といったところだ
このままでは俺達の脚力では追いつけない
向井が角を曲がるのを見計らって、俺達はあわよくば先回りするつもりで別の方向へと走った
一度掴みかけたチャンスをこのまま易々と無駄にする事は出来ない
その一心で俺達は頭をフル回転させながら町中を動き回った
そしたら
「あっ」
いた 逃げ切ったと思っていたのか、歩きに変わっていた向井の姿をかなり近くで正面から捉えた
向井は急いでUターンしようとしたが時既にお寿司、俺達はやっとの思いで向井を拘束した
「何で逃げるんって!何があったん!誰にやられたん!?教えてくれんと分からんわ!」
今まで投げ掛けたかった質問が怒涛の勢いで口から溢れ出た
ボンちゃんに抱きつかれる形で身動きもままならなくなった向井は、それでもその問いに答えようとはしなかった
「ついてくんなちゃ!危ないやろ!」
……?
危ない?
何が…………?
俺とボンちゃんは意味不明な回答にアホ面で見合わせた
しばらく押問答を続けていると、奥の空き地から馬鹿でかい怒号が飛んできた
「おい!一人で来るっち言ったやろうがちゃ!くらすぞきさんコラァ!!」 OK,Google.
「おい!一人で来るっち言ったやろうがちゃ!くらすぞきさんコラァ!!」を日本語翻訳して♡
Googleさん
「おい!一人で来るって言ったでございましょ!ぶん殴ってやりますわよ貴様コラァ!!」 見るとそこには、高校生くらいのいかにもなヤンキーが鬼の形相で立っていた
俺達はますます混乱に陥った
………………
ここでちょっと解説する
後々分かった事ではあるがこの状況に陥るまでの経緯を今話しておこう
流れとしては
向井がヤンキーを殴る
↓
ヤンキーが自分のお兄ちゃんにそれをチクる
↓
お兄ちゃんが向井をボッコボコにする
↓
プライドの高い向井は警察にも親にもそれを言わず(親は察したみたいだが)、俺達を巻き込まないようにと暫く距離を置く事を決意
↓
腹の虫が治まらない向井はヤンキー兄に「タイマンはろうや☆」とコンタクトをとる。
↓
サシで勝負のはずなのに俺達も一緒に着いてきてヤンキー兄激おこプンプン丸←イマココ! >>86
おぉっ!リアルタイムで見てくれてる人いるとは!
俺とボンちゃんはずっと混乱してたが、向井とヤンキー兄は既に戦闘モードに入っていた気がする
とりあえず俺が脳内コンピュータどだした結論は
「フタリ、キレテル。アブナイ。オレ、ムカイツレテ、ニゲル」
それだけだった
だから俺は引っ張って行こう!(?)と思って向井にしがみついた
ボンちゃんもつられて向井にしがみついた
だかその行動は向井の動きを封じ、ヤンキー兄の一方的な暴力に加担することになった
ヤンキー兄は躊躇なく向井の顔をぶん殴った
凄い勢いとガォンという音と共に、俺達は3人まとめて別方向に仰け反った
まるでコントである 向井が顎をガクガク言わせて絶句してたのを覚えてる
あぁ分かるぅ、それ痛いよね。わかるぅ〜
とJK並の感想を抱きつつ俺は向井に駆け寄ろうとした
だが向井はそんないたいけな俺を突き飛ばした
もうやる気満々らしい
向井はやたら大振りにヤンキー兄に殴り掛かったが、避けられて腹パンされたりしてた
本気の腹パン食らったことある人なら分かると思うけど、不良漫画みたいに何度殴られても殴り返すなんてのは素人、それもただの中学生には到底不可能だ
腹パンってマジで痛いんだぞ
たった一発で、それまで滾りまくっていた戦意がスっと消え失せる
そんくらい痛いんだマジで
そしてそんな腹パンを向井は食らったんだ
俺はキモイ奇声を上げながらブチ切れた 腹パンと顎パンはマジで痛い
それを知っていた俺だから、多分その場の誰よりもブチ切れてた
俺の為にヤンキーに拳を向けた向井の怒りより
そんなに関わりの無い友達を本気で心配してくれるボンちゃんの優しさより
ましてやただ殴る事だけが生き甲斐ですみたいなお遊び感覚のふざけたヤンキー兄より
俺が一番感情を昂らせていた自信がある
俺は無我夢中で泣き喚きながらヤンキー兄に掴みかかった
運良く俺はヤンキー兄の懐に潜り込めた
抱きつくような形で俺はヤンキー兄を押し倒した
何でガリガリの俺がこんなイカついヤンキーを押し倒せたのかは分からない
火事場の馬鹿力ってやつなのか、それともただ単にコケただけなのか、とにかく俺達はその場に倒れ込む形で崩れ落ちた
ヤンキー兄は余った両手で俺の背中を執拗に殴り続けた
背中は殴られると息が出来なくなる
だが体勢の関係でそこまで力は強くなかった
何より俺は痛みに耐性がある 俺はずっと泣きながらヤンキー兄の顔を掴んで言葉にならない声をあげていた
今にもごっつんこしそうな至近距離で、そいつの両眼を噛み付く勢いでのぞき込みながら
この時に向井とボンちゃんはどうしてたのか分からない
目の前の人間に対してしか意識がなかった
俺が最初に逃げようと思ったのは、俺じゃこいつには決して勝てないと思ったからだ
でも掴みかかった瞬間から考えは逆転した
こいつじゃ俺には勝てない、決して
ただ暴力をふるうだけの、獣とさして変わらないようなこいつじゃ、俺には何が起ころうとも絶対に勝てない
ずっと威嚇し続けた
この時俺は殴ろうと思えば殴れたのかもしれない
向井が俺と同じ状況なら絶対に殴っていた
でも俺は絶対に殴りたくなかった
俺の強さのか弱さなのか、殴るという発想はこの時全く持っていなかった どれくらい時間が経ったか分からない
ヤンキー兄に馬乗りにっていた俺の膝元に何か温かい感覚が伝わってきた
見ると、そこには液体が流れていた
え?血?もしかして知らない内に俺は殴っていた?
それとも誰かがナイフで刺した?
だがそれにしてはあまり赤黒くない
いや、というより全然色がない
何だこれ
雨?いや、雨じゃない
雨は降っていない
俺はふとヤンキー兄の放心したような顔を見て、やっと気付いた
こ れ は お し っ こ だ どうやらヤンキー兄が漏らしたものらしい
ヤンキー兄は怒りとも悲しみとも恥じらいともとれるような顔でこちらから目を逸らしていた
急に熱が冷めた
ずっと我慢してたのか、キチガイに絡まれビビってチビったのか、ヤンキー兄はナイアガラの滝のようなおしっこを辺り一面に広げていった
この瞬間から俺は怒りよりもまず先に「きったね」という感情でいっぱいだった
俺はよろよろと立ち上がって向井とボンちゃんに
「おしっこや」
と迫真の真顔で伝えた
二人はドン引きで「う、うん」と答えてたと思う
洗わなきゃ、拭かなきゃ
そう思った俺はとりあえずおしっこで濡れたズボンをどうにかしたいという旨を二人に話した
どちらも快く了承してくれて、その場を後にしようという事になった
俺が立ち上がってからその場を後にするまで、ヤンキー兄はずっと動かなかった
高校生にもなっておしっこをしてしまう恥ずかしさから悟りをひらいてしまったのかもしれない
俺達は近所の牛丼屋に入り、俺がトイレでズボンを拭きまくった
トイレから帰ると向井の奢りで牛丼を食った記憶がある
最初の内は三人とも映画を見終わったような気分で放心していたが、牛丼を食っているうちに段々現実に引き戻された感があって少しずつさっきの事件の話を振り返り始めた この時からだろう
ボンちゃんと俺
俺と向井
みたいな一本線の関係じゃなく
ボンちゃんと、俺と、向井
そんな輪っかみたいな関係になったのは
「三人」として友達になった初めての日だったのだと思う
それから数日間、ヤンキー兄からの報復にビクビクしていた俺達だったが、何故かそれ以来まるで何もなかったかのように平穏が続いた
あちらの事情で何があったのかは分からないが、とりあえず俺は「おしっこをしたのがよっぽど恥ずかしかったから」だと思うようにしてる
この一連の事件をきっかけに俺がある「決意」をしたのはまたあとのお話……
俺達は残りの短い夏休みを3人で遊びながら過ごすのでした
でめたしでめたし とまぁこれが中二の夏休みの出来事
これまでの出来事は暴力が絡んでくる事が多かったが、これより後の出来事はちょっと方向性が変わってくる
まあ今日は疲れたのでまた例によって時間ある時に続きを……
次回!王に俺はなる!
といったところでさようなら
また近い内来ます キタ
カク
まとめサイトの管理人さん居りましたらまだ終わってないのでよろしくお願いしますナンツッテ
根気勝負になります さてさて、夏休みも無事終わり二学期に突入した頃、俺はある決意をした
というのも今回の騒動、元はと言えばヤンキーに原稿用紙を破られたのがそもそもの原因であり、もっと言えばヤンキーにそんなふうに絡まれてしまう俺の性格に原因があるという事になる
毎度毎度誰かがヒーローのように助けてくれるとは限らないし、助けてくれたとしても俺がこのままであり続ける限り何度でもこんな事件は起きる
原因を断ち切るには、俺がしっかりしないといけないのだ
そんなふうに考えた俺は、誰からもナメられないような人間になる事を決めたのだ
……とは言え性格なんてのはそう簡単に変えられるものではない
考えた末に俺が出した結論は、性格ではなく肩書きで周囲を圧倒し萎縮させてやろうと思った
要するに俺は
生徒会長になろうとした どこも同じなのかは知らないが、うちの中学は秋頃に選挙活動を初め、大体初冬に選挙があり三学期から生徒会就任って流れだった……気がする
あんまり細かな時期は覚えてない
2年生だった俺はタイミング的にも生徒会長を狙いやすい時期だとお思いだろうか
だが、現実は全く違う
そもそも生徒会なんてのは一年生の冬にまず何らかの役職(書記委員とか副会長とか)に立候補し、二年生でそれに就任
そして二年の冬、エスカレーター式にその役職の1ランク上(風紀委員とか会長)に立候補し、当選
この流れが普通である
生徒会長は前の代で副会長を務めた者が成り上がるのが普通であり、実際わざわざその流れに割って入ろうなどと思う者は居ない
俺はもちろん生徒会に入っていなかったので、入るとしたら唯一各学年で一人づつ就任可能な副会長あたりが妥当である
というか実質ここしか割り込みで入れる空き枠がない
だがしかし、それでは駄目なのだ
どうせなるならトップオブトップ、生徒会長じゃなきゃやだやだやだ
俺はある日のホームルームで生徒会長に立候補した ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています