高さ30m「八重山地震」級の巨大津波 600年毎に4回発生 沖縄

江戸時代に沖縄県の石垣島を中心に、最大30メートルの巨大津波が襲った八重山地震について、静岡大学や琉球大学などのチームは、
津波の到達範囲や堆積物の調査を通じて、過去2000年に同規模の津波が約600年間隔で4回起きていた事実を突き止めた。

1771年4月24日に琉球海溝沿いで発生した八重山地震では、石垣島から宮古島にかけて、高さ20〜30メートルの津波に巻き込まれて1万2000人が死亡。
震源はフィリピン海プレートがユーラシアプレートに沈み込んでいる琉球海溝付近だと見られており、その規模はマグニチュード(M)7.4〜8.7にも及ぶと考えられている。

しかし、研究が比較的進んだ南海トラフと比べて、琉球海溝には巨大地震の記録が少なく、津波の発生メカニズムは謎のままだ。

静岡大の北村晃寿教授や琉球大の中村衛教授らの調査グループは、石垣島北東部の海岸付近で、長さ120メートル、深さ2メートルの調査用の溝(トレンチ)を掘った結果、4点の津波堆積物を発見。

津波堆積物とは、海底から巻き上げられた泥や砂のほか、海洋生物の死骸が陸上に堆積してできたもので、年代を測定できれば、過去の津波の襲来時期や押し寄せられた範囲が特定できる。
堆積物のうち、3つは石灰質の砂が堆積した地層で、最も新しい地層は1771年の八重山津波によるものだった。

放射性炭素年代測定法で調べた結果、それ以外は、西暦1330−1030年ごろに起きた津波の堆積物と、700−280年ごろの津波で運ばれた石の塊で、
最古のものは紀元前750年から西暦700年にかけて発生した津波の堆積物であることが判明した。

さらに、トレンチ内からは地割れがいくつも見つかったため、八重山地震が激しい地震動を伴う巨大地震であった可能性が示された。

今回の調査で琉球海溝では過去2000年間に約600年間隔で八重山津波とほぼ同規模の津波が4回起きていたと明らかになった。
研究グループは、「先島諸島全域に甚大な被害を及ぼす大津波について、実態解明の手がかりになる堆積物を今回初めて発見したことは、防災対策に結びつく」と述べている。

なおこの研究成果は、地殻物理学に関する専門誌『Tectonophysics』に掲載された。

【日時】2017年12月09日 07:00
【提供】ハザードラボ