神奈川県警は16日、SNSで知り合った人物から暗号資産による投資を持ちかけられた、神奈川県小田原市の70代の無職男性が、約2億4千万円をだまし取られる特殊詐欺の被害に遭ったと発表した。県警が詐欺容疑で調べている。県警によると、特殊詐欺の被害額としては県内で過去最高額とみられるという。

 小田原署によると、男性は昨年11月中旬、フェイスブックで知り合った人物とやりとりを始めた。プロフィル写真は若い女性だった。

 「私ももうかっている。やったら」と暗号資産による投資を持ちかけられた。当初は断っていたが、「断り続けると、女性とのやりとりが途絶える」と誘いに乗り、暗号資産取引のアプリをダウンロードした。

 指定された口座に入金すると、取引場が運営するアプリ上で残高が増える様子が確認できた。老後の資金が増える安心感と、女性の「今度、会いましょう」という言葉を信じて、入金を続けたという。

 結果的に昨年12月~今年3月、女性からのLINE、自称・取引場の担当者からのアプリ上でのメッセージで、指示された複数の口座に、1回に約100万~約500万円を投資目的などで計53回振り込み、計2億4千万円をだまし取られたという。

 3月中旬、手元の資金が足りなくなった男性が、女性に援助を依頼したが、断られた。「お金を貸してくれないのは怪しい」と署に相談し、被害が発覚した。

 男性は同居する家族には相談しなかったといい、署は「SNSで知り合った見知らぬ人の投資話に乗らないで。振り込む前に警察に相談してほしい」と呼びかけている。(手代木慶)