同意なき配置転換、職種限定では違法 最高裁が初判断
2024年4月26日 15:45

仕事を特定の職種に限って働く人に対し、使用者が別の職種への配置転換を命じられるかが争われた訴訟で、最高裁第2小法廷(草野耕一裁判長)は26日、労働者の同意がない配転命令は「違法」とする初判断を示した。労働環境の変更を巡り、労使間の合意を重く捉えた判断といえる。

労働契約法は双方が合意すれば契約で定めた労働条件を変更できるとしている。契約上で従事する職種を限った場合には、労働者が同意しなければ別の職種に配置転換できない。

同小法廷は、職種や業務を限定する合意があれば「使用者は同意なしに配転を命じる権限を有しない」と指摘した。配転の必要性などを踏まえ「適法」とした二審・大阪高裁判決を破棄し、賠償責任の有無などを検討するため同高裁に審理を差し戻した。

4月から雇用主による就労条件の明示義務が強化され、職務内容を明確に定める「ジョブ型雇用」も広がっている。労使の同意を重視するこの日の最高裁判決も踏まえ、企業の実務では労働者との合意形成をどのように図るかが問われる。

原告は滋賀県の社会福祉協議会が運営する福祉施設で、福祉用具などを改造する技師として約18年間勤務した。施設側は2019年、事前に打診することなく総務課に配転する人事異動を内示した。男性は配転命令は違法だとし、損害賠償などを求めた。

施設では福祉用具の改造業務の受注が減り、業務を廃止する方針だった一方、異動先として示した総務課は退職による欠員が生じていた。上告審ではこうした事情があった場合でも、職種限定合意があれば例外なく配転命令が違法になるのかが争われた。

男性側は労働契約で職種を限定している以上、本人の同意なく職種を変えることは許されないと訴えた。協議会側は需要が減少し技師を置く経営上の合理性はなかったなどと主張した。

二審判決は、配転命令には男性の解雇を回避する目的があったとし、総務課への異動には合理的な理由があると判断。一審・京都地裁に続いて配転は有効とし、男性側の請求を退けた。

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUE141B40U4A410C2000000/
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職種や業務内容に限定あれば「同意なしの配転命令はできない」 最高裁が初判断(弁護士ドットコムニュース)
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