露ニュースメディア「SHOT」は、拘束された4人のテロ容疑者のうち2人は事件の約2週間前から5回以上、下見に訪れていたと伝えた。
ホール従業員は「つたないロシア語で何がどこにあるのかを尋ねてきた。キョロキョロしながらロビーを歩き回っていた」と振り返った。当時は大統領選の選挙期間中で治安当局が警戒態勢を強化していたが、不審な行動が見とがめられることはなかった。

 米国は「コンサートなど大規模な集会」を狙ったテロ計画があるとロシアに事前に警告していた。しかし、治安維持を担う露情報機関「連邦保安局」(FSB)は、ロシアの侵略に抵抗するウクライナ側の破壊工作への対処や反政権活動家の監視も担当しており、後手に回った可能性もある。

当日の対応にも疑問視する声が出ている。露連邦捜査委員会の25日の報告として露有力紙イズベスチヤが伝えたところでは、武装集団は22日午後7時58分に銃撃を始め、13分後の午後8時11分に現場から逃走した。しかし、タス通信などによると、プーチン大統領直属の治安機関「国家親衛隊」の対テロ特殊部隊の現場到着は襲撃から約1時間後の午後9時すぎ。独立系メディア「ノーバヤ・ガゼータ欧州」は特殊部隊の突入が午後9時30分頃としている。

 特殊部隊の到着や対応が遅れた理由は不明だが、こうしたことが、テロ被害を国内統制の強化に利用するため、「ロシア側があえて見逃したのではないか」との観測につながっているとみられる。消防も特殊部隊の到着まで消火活動を始めなかったという。

露下院議員がテレグラムに投稿したところによると、ホール担当の民間警備会社には数十丁の拳銃やライフルが配備され、非常対応の専門チームもいたが、現場に駆けつけなかったという。

生き残った男性は露メディア「バザ」に、複数の非常階段のドアが自転車用のチェーンロックで施錠されていたと証言した。14人が亡くなっているのが見つかった非常階段もある。武装集団は襲撃時に施設に放火したが、火災報知機も作動しなかったという。連邦捜査委は、施設の対応に問題がなかったかどうかを調査する方針を示している。

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https://news.yahoo.co.jp/articles/ed5c01fb3d0d28b18acb1ede1a16e77c2ed5e5ea