「国の横暴」「仕方ない」 辺野古工事着手に住民ら

 政府が米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古移設に向け、軟弱地盤がある大浦湾側の工事に着手した10日午後、資材が搬入される米軍キャンプ・シュワブのゲート前では、反対派が「着工やめろ」などと抗議の声を上げた。ダンプカーやトレーラーの進入を阻もうとしたが、県警機動隊が強制的に退去させた。
 読谷村から抗議活動に加わった山内慶一さん(73)は「工事着手は国の横暴だ」と語気を強めた。「代執行は民主主義の破壊で県民の意思をないがしろにしている。今からでも工事をやめてほしい」と訴えた。
 那覇市から参加した会社員の男性(38)は「『ついにやったな』と思った」と悔しさをあらわにした。「知事が対話を求めても国は相手にしない。もっと沖縄の声を聞いてほしい」と憤った。
 「本当は嫌だけど仕方ない」。地元で商店を経営していた許田正儀さん(74)の表情には、諦めの色がにじんだ。騒音や環境問題への不安、建設費への疑問が拭えないという。「着工は想定通り。国の方針は簡単には変わらない」と漏らした。
 辺野古で生まれ育った30代の建設業男性は、基地内の工事現場で働くなど、米軍を身近に感じてきた。工事の進展に抵抗はないとした上で、「うるさくなるのは確かなので、騒音などの補償はしてもらいたい」と求めた。

https://www.jiji.com/jc/article?k=2024011001059&g=soc