日本の家電メーカーとして代表的な存在だった東芝が20日、株式上場を廃止し、74年にわたる上場企業としての歴史に幕を閉じた。
2015年の不正会計発覚以来、東芝は上場廃止をまぬがれるためにノートパソコン「ダイナブック」や薄型テレビ「レグザ」、
人気アニメ「サザエさん」の番組スポンサーなど消費者に身近な事業を次々と手放してきた。果たして非上場化で再建できるのか。

名門企業の転落

 「こちらは、東芝が開発した『世界初』『日本初』の製品を展示している部屋です」。川崎市にある東芝グループの
科学展示施設「東芝未来科学館」で、担当者が案内してくれたのは「1号機ものがたり」と名付けられたゾーン。
1890年の日本初の白熱電球を皮切りに、日本初の電気洗濯機に掃除機、カラーテレビ、世界初のノート型パソコンや
DVDプレーヤーなどかつて東芝が世の中に送り出した画期的な製品がずらりと並んでいる。

 1875年に電信設備メーカーとして創業した東芝。1949年5月に東京証券取引所に上場し、数々の技術革新で
戦後の高度経済成長をけん引した。経団連の第2代会長石坂泰三、第4代会長土光敏夫の両氏を輩出し、
「財界御三家」とも呼ばれる名門の地位を築いた。

 経営が暗転するきっかけは2015年に発覚した不正会計問題。08年のリーマン・ショック後の経営悪化を受け、
歴代経営陣は「チャレンジ」と称して実現困難な業績目標の達成を迫り、利益を水増ししていた。

 16年には約9000億円を投じて買収した米原子力子会社ウェスチングハウスの巨額赤字が明らかになり、
17年3月期には負債が資産を上回る債務超過に転落。18年3月期末までに債務超過を解消できなければ
上場廃止となる瀬戸際に追い込まれた。

https://mainichi.jp/articles/20231220/k00/00m/020/163000c