バラエティー番組で露出が増えた自衛隊 迫力ある映像、喜ぶタレント…そこに危うさが潜んでいないか

 最近、自衛隊を取り上げるバラエティー番組が目立つ。中にはミサイルを撃つ想定の訓練や、戦闘機にタレントを乗せる演出も。テレビ局は迫力ある映像がとれ、隊員募集に悩む自衛隊もPRできるとなれば「ウィンウィン」かもしれないが、扱うのは武器だ。世界で戦争が続く中、軍備増強を図る政権と足並みをそろえ、無批判に伝える演出は危うくないか。(石原真樹、奥野斐、安藤恭子)

◆ミサイル艇に乗り込み、速射砲の作動に「すげえ!」
 9月29日放映の日本テレビ系「沸騰ワード10」。迷彩服姿のタレント、カズレーザーさんが「海上自衛隊舞鶴基地に潜入!」の触れ込みで登場し、海自最速というミサイル艇「うみたか」に乗り込んだ。「日本海側では撃てない」という射程100キロ以上の国産ミサイル「SSM-1B」の説明を受け、速射砲の作動に「すげえ!」と喜んだ。
 テレビ初公開の「対水上打撃戦訓練」も隊員らと体験。P3C哨戒機と連携して不審船を敵と判断し「水上戦闘」のかけ声で船を加速。ミサイルを撃つ実画像を間に交え「目標撃沈」と伝える訓練を紹介した。

◆子どもたちも「すごい」「かっこいい」になるかも
 「人を殺すことにつながる戦闘機や艦船を説明なく見せられ、子どもたちは『すごい』『かっこいい』となるのでしょうか」。小学生と保育園の子ども2人がいる演劇家の鯨エマさん(50)=東京都奥多摩町=は、こうした「自衛隊バラエティー」番組を目にしてがくぜんとした。
 自衛隊の情報は開示すべきだと思うが、感謝を口にするスタジオのタレントの表情、大げさな字幕、ナレーションの抑揚といった演出が全て単一的に見えるという。「自由なはずの私たちの思考が、番組がつくる同じレールに乗せられていく怖さがある」と受け止める。

以下略
https://www.tokyo-np.co.jp/article/290924