〈実録ルポ・国道299〉「楽しいもんは仕方ないじゃないですか~」膝擦り・イエローカット・無灯火で追い越し…“聖地”に集まる迷惑ドライバー。バイカー歴40年は「ここで交通ルールを守らない人はイキりたいだけの素人さんだよ」


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埼玉県の日高市から飯能市を抜け、秩父市方面へと延びる「国道299号線」。日中はツーリングやドライブに適した山あいの道路だが、深夜ともなると峠につらなる急カーブを高速で走りぬける「ローリング族」が集まってくる。長年にわたり、警察も対策を講じてはいるものの、迷惑な騒音や危険な暴走行為は後をたたず、近隣住民は頭を悩ませているという。そこで集英社オンラインでは、お盆休みの初日の夜に、国道299号線に集まるローリング族の実態を調査した――。

〈画像多数〉取材に応えた男たちの自慢の愛車、この日も「バチバチに攻める」というが…

「あそこかよ、絶対にヤバいじゃん…」
今年6月から7月にかけて計3回、埼玉県警交通指導課と飯能署は国道299号線で「ローリング族」などの走り屋対策を実施。コンビニの駐車場などにたむろする、い集車両に対する取り締まりや安全対策を行ない、整備不良4件、免許不携帯2件の計6人を摘発し、い集車両は計108台、同乗者36人を含む144人を把握した。

「国道299号の山岳区域は信号機が少なく、夜間になると交通量も少なくなる。そこで、コーナーの多い道をサーキットに見立てて深夜に高速で走りぬける『ローリング族』と呼ばれる集団の暴走行為が長年にわたり問題となっていた。彼らは、週末の午前0時すぎになると、今回取り締まりが行なわれた飯能市内のコンビニに続々と集結する。マフラーを改造した車両などで、猛々しいエンジン音を鳴らすため、近隣住民からの苦情も絶えなかった」(社会部記者)

県警交通総務課などによると、2016年から20年までの5年間、国道299号では10件の交通死亡事故が発生し、人身事故は341件、負傷者は492人におよんだ。2018年には、制限速度を89キロ超える約129キロで走行し、カーブを曲がりきれずに対向車と正面衝突。対向車を運転していた男性(23)を死亡させ、助手席の男性(23)と自車の助手席に乗っていた男性(20)に骨折などの大けがを負わせるという悲惨な事故も起きた。

地元の消防関係者もこう眉をひそめる。

「国道299号では、制限速度を超えて危険走行するドライバーも多いことから、悲惨な事故につながりやすい。事故現場では、四肢がふっ飛んでいたり、性別が分からないほど損傷した遺体を目にすることもあるため、国道299号沿いで通報があると、『あそこかよ、絶対にヤバいじゃん…』と落胆する職員も少なくなかった。それだけ国道299号は、『できれば行きたくない現場』として知られていた」

今回の取り締まりについて、交通指導課は「今後も地元警察署と連携して、299号線対策を継続的にやっていきたい」と強調したが、現在はどうなっているのか。