【教育課程を学ぼう(8)】道徳教育の位置付けと全体計画

学校における道徳教育
 学校で実施される道徳教育は、「道徳性を養う」ことを目標とし、「特別の教科である道徳を要として学校の教育活動全体を通じて行う」とされている。この学校の教育活動全体を通じて行う方法は、1951年の学習指導要領(試案)において、「道徳教育は、その性質上、教育のある部分でなく、教育の全面において計画的に実施される必要がある」とされ、その後現在まで引き継がれてきた。

 「学校の教育活動全体」とは、道徳科はもとより、各教科などそれぞれの特質に応じて、児童生徒の発達段階を考慮しながら道徳性を養うことを目指した教育を行うことを指す。道徳科と教育活動全体で行う道徳教育との関連は、前者が後者の「要」とされている。

 また、2008年告示学習指導要領までは、道徳の時間は、各教科などにおける道徳教育を「補充、深化、統合」する関係とされていた。「要」とは扇の要を連想させるものがあり、各教科などで行われる道徳教育を道徳科において統合するとの意味と考えられる。

(中略)

なお、高等学校における道徳教育は、高校生の発達段階を踏まえ「人間としての在り方生き方に関する教育」として学校の教育活動全体を通じて行うこととされている。「要」となる教科は設置されてなく、公民科の「公共」と「倫理」ならびに特別活動が「中核的な指導場面」とされている。

道徳教育の全体計画と別葉

(中略)

 小学校の場合は、「各学年を通じて、自立心や自律性、生命を尊重する心や他者を思いやる心を育てることに留意する」とするとし、1・2学年、3・4学年、5・6年ごとの留意事項を示している。中学校の場合は、「規律ある生活」「法や決まりの意義に関する理解」「自らの将来の生き方を考え主体的に社会の形成に参画する意欲と態度を養う」などの留意事項を示している。

 各教科などが連携しながら道徳教育をいつどのように進めるのか、より具体的な姿を示すために全体計画の別葉を作成することが行われる。別葉には、各教科などにおける道徳教育に関わる指導内容と指導の時期、道徳教育に関わる体験活動や実践活動の時期、道徳教育の推進体制や家庭や地域社会などとの連携のための活動などが示される。

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