「ミサイル撃つなと言っとけ」 登校中の朝鮮学校児童に暴言
毎日新聞 2022/11/2 20:30

 北朝鮮がミサイル発射を繰り返す中、三重県四日市市の四日市朝鮮初中級学校(鄭俊宣校長)の男子児童が10月、登校中に通りすがりの男性から「ミサイル撃つなと言っとけよ」と暴言を吐かれたと、県が明らかにした。一見勝之知事は2日の記者会見で、「子供に言っても仕方がない。暴言に近い」と非難。県の差別解消条例の浸透を急ぐ考えを示した。

 北朝鮮が10月4日、日本上空を通過する軌道で弾道ミサイルを発射した。県などによると、翌5日午前8時ごろ、同校の最寄り駅の近鉄名古屋線阿倉川駅近くで、登校中の男子児童2人と同校の男性教員に、スーツ姿の男性が「ミサイル撃つなと言っとけよ」と暴言を吐いた。同校は同月8日まで、管内の四日市北署に児童の登下校の警護を依頼した。その後、児童に対する暴言やいやがらせは起きていないという。

「日本に住む人に非はない」知事強調

 北朝鮮は2日にも、弾道ミサイルを発射し、日本のEEZの外側に落下させた。北朝鮮が立て続けにミサイルを発射する中、県内の児童らにいやがらせが向かったことに一見知事は、「ミサイルを撃ったり他国の領土に勝手に入ったりしているのは国であって、日本に住んでいるその国の国籍の人たちに非はない」と強調。5月に成立した県の差別解消条例を根拠に、「県としても啓発活動を通じて差別をなくしていくべきだと考えている」と述べた。

 県の差別解消条例は、ヘイトスピーチやハラスメント行為による差別や人権侵害の解消を目指し、今年5月に県議会で可決された。条例は、人種などを理由とした差別や中傷を禁止し、県が問題の解決に向けて取り組むことを定めている。内閣府は、特定の国の出身者を著しく見下す内容のものを「ヘイトスピーチ」としており、県人権課は今回の暴言はヘイトスピーチにあたる可能性があるとしている。【朝比奈由佳】

https://mainichi.jp/articles/20221102/k00/00m/040/268000c