習近平3期目続投で2024年「台湾侵攻」に現実味 日本が陥りかねない「戦わずして負ける」事態

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 それでは台湾有事の際に中国はどこを狙うのか。それは日本だ、と筆者は断言できる。

 中国には「将を射んと欲すればまず馬を射よ」という故事がある。「目標を直接攻撃するのではなく、まず周囲のものに打撃を与えたり味方につけるべき」という意味だ。

 中国にとって、「将」は米国であり、「馬」は日本なのだ。米国が台湾有事の際、米領グアム以外に使用できる主な拠点は、在日米軍基地だ。特に沖縄のほか、岩国、佐世保が重要な基地となる。

 防衛白書によると、中国軍は日本をカバーする射程1000~5500キロの中距離弾道ミサイル(準中距離含む)を278基持っている。一方の米軍や自衛隊は保有していない。有事の際に在日米軍基地をミサイルでたたけば、米軍の出動が難しくなる。

 このような武器を使わなくても、「馬」を殺すことはできる。

 それが、影響力工作だ。有事の際にプロパガンダ(宣伝活動)や偽情報を拡散して他国の世論を操作するという手法だ。ロシア・ウクライナ戦争の際にも、SNS上でロシア寄りの言説やウクライナ側を貶める偽情報が広まった。

 中国の情報機関などが、日本のSNS上で「中国支持」や「台湾批判」の書き込みを展開したり、「戦争反対」のデモを扇動することが予想される。中国で事業展開をしている日本企業の資産を接収したり、在留邦人を拘束したりして、揺さぶりをかけることも考えられる。

 そうなると、日本国内で「外交で解決すべき」「台湾を支援するな」といった世論が広がり、一気に厭戦ムードが高まる可能性もある。国内世論が動揺すれば、日本政府が米軍に支援を頼むことが難しくなる局面もありうるだろう。

 こうした中国側の攻勢に対して日本が手を打たないまま、台湾有事が起きれば、「戦わずして負ける」事態になりかねないのだ。

https://news.yahoo.co.jp/articles/ada55cceba6ff172c9b746dd3c15f88bbe234d12