阪神・熊谷の“神ヘッド”&神走塁で決勝点 最下位脱出!韋駄天ヒーロー「心臓バクバク」

「オリックス2−3阪神」(11日、京セラドーム大阪)

 阪神が延長十一回の死闘を制し、ついに最下位脱出を果たした。延長十一回に代走の熊谷が二盗を敢行。オリックス捕手の伏見の送球が熊谷に当たり、センターへと抜ける間に、そのまま快足を飛ばして、一気に生還した。今季はここまで0勝5敗1分けだった延長戦で初勝利をあげた。 熊谷のヘルメットにはじかれたボールは中堅へ転がっていった。沸き上がる京セラドームの歓声と同時に三塁を目指す。ベースの手前で振り返ると、センターのカバーが遅れているのが目に飛び込んできた。藤本三塁ベースコーチの腕がグルグル回るのを確認すると、三塁ベースを強く蹴った。

 まるでスローモーションのようにかえってくる白球。トップスピードでホームベースを目指した熊谷は、頭から飛び込んだ。延長十一回、足で奪った決勝点。奇跡の瞬間は矢野監督の積極的な一手から生まれた。

 先頭の佐藤輝が左前打を放つと、指揮官はすかさず代走・熊谷を告げた。「心臓がバクバクしてました。でも輝が出てくれて、仕事をしようとそれだけ考えてました」と背番号4。次打者の大山は1球で右飛に倒れたが、続くロハスの打席でカウント2ボールからの3球目に二塁へスタート。「走るしかない。何も考えずに」と抜群のタイミングで悠々と二塁を陥れたかと思った次の瞬間、送球がヘルメットを直撃。ボールが中堅を転々とする間に、一気に本塁を陥れた。

 沸き上がる三塁ベンチ。「僕も興奮して誰に何をされたか覚えていない(笑)。それくらい興奮してました」と熊谷は振り返った。その裏、三塁に入った守備では2死一、三塁からボテボテの打球に対して素早く捕球し、一塁へランニングスロー。鮮やかな美守で同点を許さず、自らの“神走塁”で奪った1点を守り切った。

 この日、デーゲームでヤクルトが勝ったため、史上初の交流戦Vとはならなかった。それでも難敵・山本由伸を相手に終盤で同点に追いつき、延長戦に持ち込んだ。そして執念の勝ち越し劇。交流戦最後のカードで勝ち越しを決めた1勝は間違いなく、リーグ戦へとつながっていく。

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