新潟県内で昨年、外国人が摘発された刑法犯事件は112件(速報値)に上り、このうちベトナム人の摘発件数は82件と、国籍別で4年連続最多となった。県内ではここ数年、ベトナム人窃盗団による万引き事件が相次いでおり、県警は犯行を支援する組織があるとみて捜査を続けている。事件の背景には、技能実習生として来日したベトナム人の生活苦もあるとされ、県内の外国人支援団体は「支援体制の整備が必要だ」と訴える。

 「生活費を稼ぐために万引きを常習的に繰り返しており、身勝手かつ利欲的な動機に酌量の余地はない」

 本県を含む11県のドラッグストアなどで総額約1100万円の商品を万引きしたとして、窃盗罪などに問われたベトナム国籍の無職の被告(30)に対し、新潟地裁高田支部(富岡貴美裁判長)は26日、懲役3年、執行猶予5年(求刑・懲役3年)の判決を言い渡した。

 被告はベトナム人窃盗団の指示役の1人。共犯者のベトナム人4人もすでに懲役2〜3年の執行猶予付きの判決が出ている。

 判決などによると、5人は当初、技能実習生として別々の時期に来日したが、人間関係や生活苦から実習先を逃げ出すなどし、その後知り合った。5人ともベトナムでの犯罪歴はない。万引きの際は店内の死角に移動して商品をバッグに入れ、すぐに逃走できるよう1人は車で待機するなど、手慣れた手口で犯行に及んでいた。

 捜査関係者によると、被告らは盗んだ商品をベトナム本国にいるとみられる「おばさん」と呼ぶ人物に売ったと供述していた。ただ、この人物と被告らがやり取りしたメッセージは消去されており、万引きした商品をどのように送っていたのかなどはわかっていない。

 5人の逮捕後も、県内では別のベトナム人窃盗団とみられる万引き事件が数件起きている。県警捜査3課は「支援組織を摘発しなければ、新たな窃盗団が犯行を繰り返すだけ。窃盗団は複数県にまたがって犯行を繰り返す傾向にあり、他県警とも連携して捜査を進めていきたい」としている。

出入国在留管理庁や全国万引犯罪防止機構(東京都)によると、10年ほど前から留学や技能実習で来日するベトナム人が急増した。在留ベトナム人の増加に合わせ、全国でドラッグストアなどでの万引き事件が相次ぐようになったという。

 県警の統計では、県内で2014年にベトナム人による刑法犯の摘発件数が前年の約9倍にあたる91件に上り、国籍別で最多となった。その後も17年を除いて国籍別で最も多くなっている。そのほとんどがドラッグストアなどでの万引きという。

 県内在住の外国人を支援する「新潟ヘルプの会」(新潟市中央区)によると、多くのベトナム人が技能実習生として来日する際、日本語教育などの名目で80万〜100万円の借金を抱えるという。借金の返済で生活が苦しくなったり、労働環境の悪さに耐えられなかったりして実習先から逃亡。不法残留となり、生活費などを稼ぐために犯罪に手を染めるケースが目立つという。

 

1/28(金) 13:54配信 読売新聞オンライン 外国人摘発最多はベトナム人、県警「支援組織の摘発必要」…支援団体「犯罪目的では来日しない」
https://news.yahoo.co.jp/articles/d59b82cae57fa933707d77db59b91ad8581a0658?page=1