月面探査機「玉兔2」による月の裏側の調査報告 暗い緑色に光るゲル状物質を発見

https://news.yahoo.co.jp/articles/6c63c379417c910001d5069beca661a1c94ba1ce?page=3

 CE-4ミッションにおいて、玉兔2のホイールには大きな塊状の土壌が付着しているのを観察した。ホイール表面の46%以上が塊状の土壌で覆われており、これは4日目や5日目、6日目、19日目、23日目の車輪の画像に見られ、他の日にも同様に観測した。

 CE-3ミッションでの車輪では確認できなかったことから、CE-4地点ではより高い粘土を持つ土壌と考えられる。このようにレゴリスの凝集力が高いのは、レゴリスに含まれる「アグルチネート」という岩石の割合が高く、それが土壌の成熟度に比例しているためと考えられる。これは、CE-4地点の土壌がCE-3地点よりも成熟していることからも裏付けられる。

 車輪がどれだけ沈んだかで土壌の特性も推測できる。CE-3では車輪半径に対する沈み込みの割合は5.6〜11.5mmに対し、CE-4では5〜15mmと後者の方がやや深く沈んでいるのが分かる。

 この結果は、CE-3地点のレゴリスは、CE-4地点のレゴリスよりも相対的に耐力が強いことを示している。また、月の裏側で確認したレゴリスがアポロ計画で確認できたレゴリスよりも強いことを示し、さらに、月の裏側にあるレゴリスの支持力は、地球上の乾燥した砂や砂壌土の支持力に類似していることが分かった。

まとめ
 この研究では、CE-4ミッションで長期滞在した玉兔2による探査結果について説明した。ミッション中、玉兔2は軽度の車輪のスリップを経験しており、地形は大局的には比較的平たんであるが、局所的には緩やかな傾斜が散在していた。

 レゴリスについては、CE-3地点と比較してレゴリスの特性が凝集性を増していることが明らかになった。これは、露出時間が長く、風化作用が進んだためにアグルチネートの割合が高くなったためと推測される。

 車輪に付着した土は、他の月面地点に比べて土壌の凝集性が高いことを示した。また、レゴリスは地球上の乾燥した砂や砂壌土に似た性質を持っており、アポロ計画で確認できものよりも高い支持力を持っていることが分かった。

 岩石が少ないのとは対照的に、噴出物を持つ小さな新鮮なクレーターが多く存在し、その中には二次的な衝突現象を示唆する高反射のゲル状の物質が底部に含まれていた。これらの発見は、月の表側と裏側の表面地質の違いを示すものとなった。