当時は異例の主要キャラの死…人々を惹きつけた『タッチ』の魅力
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住んでいた場所は違っても、年齢が近ければ「そうそう! わかる」って盛り上がれるのが、青春時代に夢中で読んだマンガの話。活躍する同世代の女性と一緒に、“’80年代”を振り返ってみましょう−−。

【写真あり】高校生活最後の夏を描いた17巻

■少女マンガのようなキュンとするシーンも

『週刊少年サンデー』(小学館)で連載されていた『タッチ』(’81〜’86年)は、’70年代後半から現在に至るまで、第一線で活躍するマンガ家・あだち充氏の代表作。

「’80年代初めに、『少年ビッグコミック』で『みゆき』(’80〜’84年)、『週刊少女コミック』で『陽あたり良好!』(’80〜’81年)とヒットを連発。私の周りでも、両方同時にハマった読者が多かった」

こう話すのは、世代・トレンド評論家の牛窪恵さん(54)。

そんな多忙をきわめていたと思われる時期に、さらに新連載として始まった『タッチ』は、少年誌であるものの、女性ファンも多かったのが特徴の一つだという。

「高校野球がテーマとなっていますが、ラブコメ要素も強く、女子がキュンとする、少女マンガのようなシーンが描かれていました。男性にとってヒロイン・南ちゃんは理想の女性だったようですが、女子にとっても憧れの存在。料理が上手で、学校の成績もよく、運動ができて、しかも親孝行で誰にでもやさしくて、かわいい。(明石家)さんまさんも、一時期、南ちゃんを真剣に探し『いたら結婚してた』と話していましたが、そんな女性、そうそういるわけありませんよね(笑)」

南ちゃんは新体操部という設定のため、全国的に新体操部が人気となった。また、夕方のニュース番組には「南ちゃんを探せ」という、スポーツに打ち込む少女を紹介するコーナーも登場した。

さらに注目すべきは、主人公の一人が交通事故で亡くなるというストーリー展開。

「『主要キャラを死なせるなんて、とんでもない』という、編集部の強い反対を押し切ったそうで、私も意外な展開にショックでした」

こうした衝撃の展開も読者を引きつけ、フジテレビ系でアニメ化(’85〜’87年)もされた。

「日曜の午後7時からという、ファミリー層も多く見る枠でしたので、いかに幅広く支持されていたのかがわかります。また、主題歌『タッチ』(’85年)は、岩崎良美さんの代表曲に。南ちゃんを演じた日高のり子さんも、声優として飛躍しました」