【特別掲載】いま語られる映画『ククルス・ドアンの島』と「安彦良和/機動戦士ガンダム THE ORIGIN展」への思い──安彦良和インタビュー
アニメ 公開日:2022/1/21
──ドアンの話自体、心に残っていたんですか?
安彦 当時はすごく継子扱いで、作監込みで外注のスタジオに丸投げして、上がってきたラッシュを「ああ、これはちょっと……」と思いながら見たくらいだったんだけど、ストーリーはずっと引っかかっていて。これはちゃんと作ればいい話になるはずだって。「ククルス・ドアンの島」は、フランシス・コッポラ監督の『地獄の黙示録』に近い話だなと思っていて。『地獄の黙示録』は、ベトナム戦争中、脱走してジャングルの奥地に自分の王国を作ったカーツ大佐に米軍が刺客を送るという話で。ベトナム戦争の闇を描いていてすごく奥行きがある。「ククルス・ドアンの島」もある種「一年戦争の闇」を描いている感じがして。そういうところも引っかかる話ではあるんですよ。
──今回は、そうした部分にスポットを当てて、いろいろと膨らませているんですね。
安彦 中身に関しては、いずれお話しする機会があると思うけれど、もちろん、いろいろ変えています。舞台になる島も、自分で不器用にネットをいじって「ここだ!」という場所を探したりね。具体的にどこかってことはまだ秘密だけど。
──制作状況はいかがですか?
安彦 順調です。だから、来年(2022年)のほどよい時期に公開できるんじゃないかな。『THE ORIGIN』のOVAは、過去編を原作にしたアニメ化だったけど、『ククルス・ドアンの島』は漫画でも描いていないし、いろんな要素や展開を交えた、ほとんどオリジナルに近い作品なので、すごく楽しく作ることができている感じですね。
──では最後に、劇場版『ククルス・ドアンの島』を楽しみにしているファンにメッセージをお願いします。
安彦 『ククルス・ドアンの島』は、発表後かなり反響があったと聞いて、つくづくガンダムもドアンも幸せなヤツだなと思っています。作品は支持されて、愛されてなんぼなので。ガンダムシリーズは難しいところが売りのひとつのようだけど、『ククルス・ドアンの島』はとてもわかりやすい話なので、ガンダムを全然知らない人でも楽しめる作品になるんじゃないかな。「なぜ、今ドアンなの?」って思っている人も多いだろうけど、ご覧になれば「なるほど」と納得していただけるものになるように作っているので、期待していただけると嬉しいです。
https://youtu.be/Zj5nfqmt8qU
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