15日(土)から太平洋の広域に押し寄せている津波は、トンガの火山 フンガトンガ・フンガハアパイの大規模噴火によるもので、
大気中を伝わる衝撃波「空振」が原因であった可能性が指摘されています。

気象庁は「津波かどうかわからない」「前例がない」という理由から、
1メートルを超える高さの潮位変化が観測された後になってから、津波警報や注意報を発表しました。
一歩間違えれば手遅れになり、人的被害の発生していた可能性も否定できません。

この対応について、今後の防災情報に活かすべく考察をしてみます。


日本で潮位変化を観測してから4時間後の警報発表

津波警報発表までの時系列
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トンガで噴火が発生したのは15日(土)の日本時間の13時過ぎでした。
気象衛星画像でも即座に巨大な傘状の噴煙が確認出来たことから、非常に規模の大きな噴火と判断ができたため、
航空機向けの情報などが迅速に発信されました。

その約1時間後には、アメリカ領サモアで0.6mの潮位変化が観測されました。
太平洋津波警報センターは「火山活動により津波が発生した」として、噴火から約1時間半後に当該地域に津波注意報を発表しています。

18時を過ぎると、ハワイでも津波が観測され始めます。
これは通常の「海中を伝わる津波」として計算されたよりも2時間ほど早い到達でした。
これを元に、19時43分に太平洋津波警報センターはハワイにも津波注意報を発表しました。
事前に発信されていた「津波の脅威はない」という情報を打ち消す発表でした。

20時頃には日本でも気圧の変化や潮位変化が観測され始めます。
21時台には本州の沿岸でも海面上昇が0.3mを超え、23時台には1mに迫るところが多くなってきました。
通常の地震であれば、0.2m以上の海面上昇は津波注意報の対象です。

そして0時前に奄美市小湊で1.2mの海面上昇が観測されます。
1m以上の海面上昇は津波警報の対象です。ここで気象庁はようやく津波警報を発表しました。
0時15分、最初の潮位変化から4時間以上後のことでした。


潮位変化「前例ない」は本当か 津波警報の遅れと防災情報のあり方
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