「毎月1億ウォンずつ上がる」マンション急騰、駆り立てられる釜山
2021/9/20 6:00 西日本新聞

釜山市でマンション価格の上昇が続いている。市内の平均売買価格は2年足らずで約1・5倍に急騰。背景には全国から投資マネーが流入し、
新型コロナウイルス下の低金利政策でカネ余りの状況が生まれたことがある。韓国政府は昨冬から価格抑制策に乗り出したが、値上がりへ
の期待と、高騰すれば買えなくなるという不安が市民を駆り立て、価格を押し上げている。

■「風船効果」ソウルを規制した結果、膨らんだ釜山
高騰のきっかけは政府の規制解除だ。韓国国土交通部は16年11月から海雲台区などを、住宅の投資制限によって価格上昇を防ぐ調整対象
地域に指定した。その後、不動産市場が冷え込んだため釜山市の要請を受け、19年11月に全面解除が決まった。「今年4月に行われた釜山
市長選向けの選挙対策だった」(不動産関係者)との見方もある。
一方、先行してマンション価格が高騰していたソウルでは住宅ローンの借り入れが難しく、不動産投機を抑える狙いでマンション供給を減らす
政策も取られていた。結果、釜山は格好の投資先になり、ソウルから貸し切りバスや高速鉄道KTXに乗って下見に来る購入希望者もいたという。
不動産調査会社のソレックスマーケティング釜山支社の金慧信支社長は「ソウルを規制で抑えた結果、他地域の投資が膨らむ『風船効果』
で釜山の価格上昇を招いた。コロナ禍に伴う低金利に加え、不動産市場の過熱を抑えようと政府が住宅供給数を絞ったことで、投資目的と
持ち家を買う需要が組み合わさって値上がりした」と指摘する。

国土交通部は20年12月から釜山市のほぼ全域を調整対象地域に再指定したが、価格上昇は続いている。同市のマンションの平均価格は
19年11月の約2億8千万ウォンから、21年7月は約4億1700万ウォンと48・9%増加した。海雲台区は89・6%増の約6億8800万ウォンとなり、
最も伸びた。投資需要が収まっても、住む家がほしい「実需」の人たちは価格上昇が続くとみて、割高でも購入している。

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