1駅先のほうが安い?鉄道運賃「珍現象」の数々
割安運賃区間の近隣、1駅で大幅に上がる場合も
2021/09/16 4:30
北村 幸太郎 : 鉄道ジャーナリスト

JRでは、距離に基づく通常の運賃とは別に、特別な方法で運賃を計算する区間がある。並行する他社線に対抗するために一部区間で割安な運賃を設定したり、JR線とJR線の間に他社線をはさむ場合、前後区間の距離を通算して運賃を出したりといったケースだ。

こういった「特定運賃」は利用者にとっては運賃が安くなることが多くありがたいが、近隣の区間では1駅先まで行ったほうが安くなったり、わずかな距離で運賃が爆発的に上がったりと、何とも不思議な現象が起きる。今回はこのような運賃の区間について紹介したい。

1駅先に行くと90円安くなる
常識的には、運賃とは遠くに行くほど高くなるものである。ところが、1駅先で降りたほうが安くなってしまうケースがある。西船橋から武蔵野線・京葉線経由で八丁堀まで行く場合だ。西船橋から八丁堀までは400円(紙の切符の場合。以下同)だが、1駅先の東京までだと310円で済んでしまう。

どうしてこんなことになるのかというと、西船橋―東京間については、本来のキロ数でいえば400円となるところ、310円の割安な特定運賃が設定されているためだ。同区間は東京メトロ東西線が競合している。

この特定運賃は総武線経由にだけ設定されている。だからといって、京葉線で西船橋から東京まで乗って310円で済ませたら不正乗車かというとそうではない。大都市近郊区間内は乗車経路にかかわらず最短・最安経路の運賃で計算することになっているので、西船橋―東京間は京葉線経由であっても最安の310円となる。だが、対象が総武線だけのため、八丁堀は対象外なのだ。

同様のケースは成田から秋葉原へ行く場合にも起こる。総武線で成田から秋葉原までは1170円だが、山手線に乗り換えて2駅先の上野で降りると940円で、長く乗ったほうが230円も安くなる。これは京成線と競合する成田―上野間に特定運賃が設定されているためだ。上野までの乗車券を買って秋葉原で改札を通しても精算対象となる。

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