レイプされた3歳の女の子の腸は体外に出ていました…」ノーベル平和賞ムクウェゲ医師が語る
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デニ・ムクウェゲ医師はコンゴ民主共和国のパンジ病院で性暴力の被害女性の治療を専門としている Photo by Per-Anders Pettersson/Getty Images

コンゴ民主共和国のデニ・ムクウェゲ医師は、長年にわたり性暴力被害者を治療してきた功績が評価され、2018年にノーベル平和賞を受賞した。しかし、現在、医師は自身の病院に籠城を余儀なくされているという。そんな彼の窮状に迫った。

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命を狙われながらの治療
この20年間で、デニ・ムクウェゲ医師は幾多の恐怖を味わってきた。

ノーベル賞受賞者のムクウェゲ医師と彼の同僚たちは、コンゴ民主共和国のパンジ病院で、これまでに紛争下でレイプ被害にあった何万人もの女性たちの治療を施してきた。それは、民兵や国軍兵士に引き裂かれた少女の腸を縫い合わせ、腹腔内に戻すといった治療だ。

その産婦人科医としての功績が世界的に高く評価され、ムクウェゲ医師は2018年にノーベル平和賞を受賞した。しかし、近頃では病院の外をぶらつくこともままならない。命を狙われているためだ。

「まるで牢獄で暮らしている気分です」とムクウェゲ医師は語る。病院はルワンダとの国境にほど近い町ブカヴにある。

「脅迫状も届くし、口頭でも脅されます。たまに夜遅く武装した男たちが自宅の外に現れ、銃を発砲するんです。我々に精神的なショックを与え、恐怖心を植え付けるためです」

誰が自分の命を狙っているのかはわからない、とムクウェゲ医師は言う。だが、自分がコンゴ東部で覇権争いをしている複数のグループを公然と糾弾しているせいで、誰かがその口を封じたがっているのだろうとは見当がついている。コンゴ東部に広がる美しい丘陵地帯は、忌々しくも世界有数の鉱物資源の産出地なのだ。

「犯人の特定はできませんが、この地域であらゆる悪事を働いている者たちこそが、脅迫の首謀者であることはわかっています」と医師は言う。

紛争の主戦場となったコンゴ
1994年から2003年まで続いたルワンダ大虐殺に続き、アフリカでは大規模な紛争が勃発し、コンゴはその主戦場となった。アフリカ8ヵ国の国軍と何十もの武装組織が、その広大な国土の未来と、豊富な鉱物資源の利権をめぐって争った。およそ600万人が虐殺されたが、これは第二次大戦後における最大の犠牲者数である。

ムクウェゲ医師が1999年にパンジ病院を設立したのは、出産で亡くなる母子を減らすことが目的だった。しかしほどなく、病院には、略奪を働く国軍兵士や地元民兵や暴漢によって性暴力や集団レイプの被害にあった成人女性や少女たちが押し寄せるようになった。