全住民に2回接種してもワクチン余る村、高校生にも接種開始「全国で不足する中…ありがたい」

 全国の過疎の自治体で、新型コロナウイルスの高齢者向けワクチンを年齢制限を設けずに接種する動きが広がっている。政府は、全市町村にワクチンを最低1箱(975回分)配布したが、人口が少なく、全住民に2回接種しても余りが出るためだ。人口432人(今年4月時点)の自治体・和歌山県北山村では15日、高校生への接種が始まった。

 「全国でワクチンが不足する中、ありがたい」

 午前9時過ぎ、村内唯一の診療所で接種を受けた高校3年の男子生徒(18)はホッとした様子で話した。

 厚生労働省は4月上旬以降、65歳以上の高齢者向けのワクチンを人口規模に応じて各市町村に配分。特殊な容器で冷凍保存の必要があるため、1箱単位で配分し、1箱には975回分か1170回分が入っている。各市町村に975回分の1箱が必ず届くことになっており、北山村には今月2日、975回分が入った箱が届いていた。

 今年4月時点の村の人口432人のうち、接種対象の16歳以上は383人だ。このうち希望者は318人で、全員が2回接種しても339回分が余るという。

 厚労省は、過疎自治体などでワクチンが余った場合、高齢者以外への接種を容認している。そのため、北山村では年齢制限を設けず10日から1日約60人ずつ進め、全村民が6月5日までに2回目の接種を終える予定だ。余った分は県を通じて県内の他の市町村に回すという。

https://www.yomiuri.co.jp/national/20210515-OYT1T50142/